Page 2 / 4 1ページ目から読む

サム・ジョーダンが目当てと書いたものの、実はもう一つ期待を込めて観に行ったバンドがある。

つい先日、数々のピアノ・コンクールで輝かしい功績を残したクラシック界の若きマエストロ、マレク・ヤニツキと連弾した動画をアップし音楽関係者の間で話題となっているポーランド人ピアニスト、ブルーノ・カミンスキが所属しているNUMBER FIVEだ 。

動画が話題になっているものの、バンドのオフィシャル・ホームページも、SNSのアカウントも存在しない彼らの演奏を観られる機会を逃してなるものかという思いが少なからずあった。

トップバッターとして登場した彼らの演奏は驚くべきもので、期待を大幅に上回る素晴らしい内容であった。

女性だがパワフルなプレイでバンドを牽引するベーシストのハンナ・ペータース、スローからアップテンポまでグルーヴのツボをとらえて離さないドラマーのラファエル・ボヌー、まるで音の洪水のように、すべてをぶつけるようにプレイするアジア人のサックス奏者ダイ・ミヤモト。

ブルーノ・カミンスキが率いる、いわゆる〈ピアニスト中心〉のバンドかと思っていたが、彼らの演奏は、まるでジャズが持つ多様性そのもの。奥深さとさまざまな表情を見せて、オーディエンスの心を揺さぶる熱量も併せ持つものであった。

振り返れば彼らの存在が、このフェスティヴァル全体の熱気を作り上げたといっても過言ではないだろう。