ヘンデルのアリア集かと思うタイトルだがさにあらず。イタリア・ヴェネツィア楽派の大家カヴァッリの作品のみで構成された本盤は、ヘンデルの名曲と同じ歌詞に作曲された“オンブラ・マイ・フ”に始まり、ジャルスキーの幅広い表現力が存分に活かされる、個性豊かな楽曲が並んでいる。カヴァッリが多くの作品を提供したサン・カッシアーノ劇場が、公衆に開放された史上初の劇場であることからも、これらの曲の娯楽性の高さ、多彩さが想像できるだろう。もちろん優美な旋律にも事欠かず、ゆったりとしたアリアでは人の声がもつ純粋な美しさを堪能できる。お互いを引き立てあう息の合った二重唱も特筆もの。