原作がホラー小説「ぼぎわんが、来る」、監督に「告白」の中島哲也、俳優陣の豪華な顔ぶれと公開前から話題を提供していた映画「来る」。国内外のアーティストが集結した音の方も、実は力の入り具合が相当なのだ。不穏で不快な電子音のハーバートと、サイケデリアの中を仄かに狂気が漂うKaln Aileen両名の書き下ろし各2曲は目玉といえそうだが、それよりも本作で核となるのが坂東祐大による楽曲と、それを形にするEnsemble FOVEを中心した面々。ストリングスや木管楽器の音とは思えぬジリジリと精神を追い詰める演奏は、深夜にヘッドフォンで聴くと臨場感が倍増し、何となく後ろを振り返りたくなる。