さまざまなトーンで奏でられる、強く揺るぎないメッセージ

 2017年に発表されたリアノン・ギデンズの『フリーダム・ハイウェイ』はアメリカ社会に大きな問題提起をした衝撃的、かつ素晴らしい作品であった。そのリアノンがフロントを務めるキャロライナ・チョコレート・ドロップスの登場はアメリカーナというタームにルイジアナへの道筋を与えたと言ってよい。

 キャロライナ~にかつてチェロ奏者として在籍した才媛がもう一人、このレイラ・マッカラ。彼女もリアノン同様に現代社会に対して、あるいは自らのルーツに真摯に向き合う。既に2枚のソロ作品を発表しており、初作ではハーレム・ルネッサンスを代表する詩人ラングストン・ヒューズを取り上げた。女性や人種問題を歌うリアノンに負けず劣らずアメリカの歴史と現在への眼差しは鋭い。それは本作のストレートなタイトルを見れば明らかだ。

LEYLA McCALLA Capitalist Blues Pias America(2019)

 冒頭はそのタイトル曲、制作拠点であるニューオリンズのエッセンスが効いたゆったりとしたブルーズでシリアスに語り掛ける。曲はカリプソクラシック《マネー・イズ・キング》へと続き、マリアッチ、ゴスペル、ザディコ…様々なジャンルの音楽が次々と飛び出す。また、今作でレイラはチェロを全編バンジョーに持ち替え、バックにはルイジアナのケイジャンバンド、ロスト・バイユー・ランブラーズのメンバーが参加、彼らはグラミーで最優秀リージョナル・ルーツ・ミュージック・アルバム賞も獲得しているが、この作品はまさにリージョナル・ルーツの“るつぼ”であり、そのセレクトには一本芯が通っている。

 ハイチにルーツを持つ彼女がここで歌おうとしていることは母として、女性として、政治に参加するものとして日々抱く様々な思い、それは現状のアメリカに対するものも当然あり、その発露である。揺ぎ無く、あらゆる楽し気な曲調の中でも語られるメッセージはとても強い。それはシリア難民をテーマにした《アレッポ》という曲でエレキギターがサイケに荒ぶるのにも象徴的だ。