ベルリオーズとロト、時代は違えども〈革新者〉としての貌が明滅する。2009年録音の鮮烈な「幻想交響曲」以来、約10年ぶりとなるロト&レ・シエクルのベルリオーズ。作品の魅力をありありと現在的に再発見させてくれる彼らの手法はますます磨きがかかり、このバイロンの長詩に基づく異色作の音楽的真価を堪能させてくれる。同時代楽器の響きがもたらす効果は絶大だ。併録の歌曲集「夏の夜」もロトがバリトンのドゥグーに全曲を託した意味がよく判る絶品の聴きもの。《ばらの精》や 《君なくて》のように、気品ある情感に満ちた歌唱が、古雅の風情漂うオケの音色と共に、陶然とした心地に聴き手をいざなう。