ビデオインスタレーションに付した音楽でありながら、映像から切り離すことで純音楽としての変換に成功したサウンドトラック。2013年から2018年までの映像作品の楽曲を収録したライブラリー的な作品集である。フィールドレコーディング的でありながら少々シリアスなノイズ、高潔なドローンらが絡み“視覚の想像力”を刺激する。目を閉じて聴き込みたいアンビエントな響きだが、自分は 「音楽に没入している」のか「瞼の裏に浮かぶ映像を楽しんでいるのか」わからなくなる。陶酔にも近いこの絶妙な揺蕩感がたまらない、至福の67分間を保証しよう。