INTERVIEW

TECHNOBOYS PULCRAFT GREEN-FUND、アイデア満載の音楽で多くのアニメ作品を彩ってきた3人組のこれまでとこれから

TECHNOBOYS PULCRAFT GREEN-FUND、アイデア満載の音楽で多くのアニメ作品を彩ってきた3人組のこれまでとこれから

今年で活動25周年! 遊び心をたっぷりと注入した職人肌の音楽で多くのアニメ作品を彩るクリエイター・トリオのこれまでとこれからを総まとめ!!

〈テクノ〉といっても三者三様

 テクノ一筋、今年で活動25周年を迎える3人組、TECHNOBOYS PULCRAFT GREEN-FUND(以下、テクノボーイズ)。「EX MACHINA -エクスマキナ-」のサントラへの参加などをきっかけとしてアニメの世界でも注目を集めるようなった彼らだが、新作『MUSIC FOR ANIMATIONS』はアニメ関連の楽曲やアーティストへの提供曲、そして新曲を収めた2枚組のベスト・アルバム。テクノボーイズのファンはもちろん、アニメ好きにもたまらない作品だ。

TECHNOBOYS PULCRAFT GREEN-FUND MUSIC FOR ANIMATIONS ランティス(2019)

 「Disc-1にはアニメのオープニングやエンディング・テーマ、挿入歌を、Disc-2にはそれ以外の劇伴や提供曲をまとめました。最近のものだけじゃなく昔の曲も入れてます」(フジムラトヲル)。

 「提供曲でいちばん古いのは“ウィッチ☆アクティビティ”ですね。そのあたりから本格的にアニメ作品に関わらせてもらうことになったんです」(松井洋平)。

 “ウィッチ☆アクティビティ”は彼らの代表曲のひとつ。クラフトワークのパロディーになっている曲名やジャケットからも、彼らのテクノ愛が伝わってくる。

 「この曲はあっという間に出来ました。3人で集まって3時間くらいで作りましたね。3人が揃うと勢いがつくので」(石川智久)。

 「ちょうど島根でライヴをやって、3人一緒に車に乗って東京へ帰ってきた直後だったんですけど、車中でいろんな音楽を聴いてたんです。バービーボーイズとか大江千里さんとか。それで盛り上がった勢いで作った曲で、歌詞も同時進行で作りました。〈ウィッチ、ウィッチって入れよう!〉とか言いながら」(松井)。

 最初にキーワードになる言葉が決まっていて、そこから曲を膨らませていくことも多いらしい。「おそ松さん」のエンディング曲“SIX SAME FACES ~今夜は最高!!!!!!”の場合は、イヤミの〈シェー!〉が出発点だった。

 「最初はイヤミが主役のアニメっていうイメージだったんで、〈シェー!〉は入れないとダメでしょうってことで、まず〈シェー!〉にメロディーを付けて曲を広げていったんです」(フジムラ)。

 「それで石川が〈ファンクをやろう〉って。でも、監督から〈歌じゃなくセリフでいきたい〉と言われたんです。それで〈イヤミだけでも歌ってもらえませんか?〉って相談して。いったん曲を全部作り、Aメロだけカットして、そこを六つ子に喋ってもらうことにしたんです。そして、イヤミが歌ってまとめる。そういう構成にしたらおもしろいんじゃないかと思って」(松井)。

 同曲は軽快なディスコ・ナンバーに仕上がっているが、彼らは楽曲ごとにヘヴィー・メタルやスカ、クラシックなどさまざまなスタイルを引用。音楽の引き出しが多いのもテクノボーイズの魅力だ。また、ハード・シンセを使う点も彼らの特徴だが、〈テクノ〉といっても3人の趣味は違う。松井はシンセの音色に特徴がある80年代のテクノ・ポップが好みで、フジムラはエレクトロニカが得意。そして、ヴァンゲリス好きの石川は現代音楽にも精通している。そんな守備範囲が広い3人だからこそ、アーティストとのコラボレーションにも広がりが生まれるのだ。その良い例が、シンガー・ソングライターの高野寛をヴォーカルに招いた“Book-end, Happy-end”だ。

 「ボブ・ジェイムズを意識した曲を書いたんですけど、それを聴いた高野さんは〈80年代のポップな坂本龍一ですね〉っておっしゃられて。高野さんも引き出しが多いから、曲の狙いがすぐ伝わるんです」(石川)。

 「最初、高野さんは僕らに寄せようとしてくれてたみたいなんですけど、僕らは高野さんらしさを求めていたので、どんどん高野さんっぽいギターを入れてもらって、歌詞も書いてもらったんです。結果、曲は高野さんみたいで、オケだけ聴いたらテクノボーイズっていう、〈ザ・コラボレーション!〉な曲になりました」(フジムラ)。

 そのほか、“幻想レボリューション”には松岡英明を、“Magical Circle”には中川翔子を迎えるなど、シンガーの持ち味を引き出しながら、アニメの世界観に寄り添った曲作りに職人技が光る。

 「シンガーの歌声の美味しいところを見極めたうえで、そこにどうやって持っていくか、逆算しながら曲を作っていくんです。歌声の魅力をフルに引き出さないともったいない」(石川)。

 

アヴァンとポップの狭間で

 その一方で、声優たちが歌をのせる時に重要なのはキャラのイメージを壊さないこと。「例えば、普段は低い声で喋るキャラが高いキーを歌わなければいけない時、どうやってキャラの世界観を保つかというのはいつも考えます」とフジムラは言うが、3人がキャラクターソングのおもしろさに気付いたのは先述の“ウィッチ☆アクティビティ”だった。

 「井澤(詩織)さんの声が入った時、〈なんだ、この声は!?〉って驚いたんです。井澤さんだけじゃなく、5人の声のバランスがすごく良かった」(フジムラ)。

 「この曲を作って、〈キャラソンってこういうことなんだ!〉って思いました。これ以降、キャラソンを作る時は、キャラのモノマネをしながら仮歌を入れてます。イヤミとかすごく上手くなってきて、家で仮歌を入れていると、それを聴いた奥さんが本物と間違えるくらい(笑)」(松井)。

 劇伴は曲ごとに担当を割り振るが、ヴォーカル曲に関しては主に石川が基本になるものを作り、それを3人で膨らませていくらしい。

 「アニメの歌モノで、ちょっと派手なことをやる時は必ずプリンスを意識します。まずプリンスを聴いて曲を考えるんです。“CUBIC FUTURISMO”とかプリンスっぽいし、“ENTER THE NEW WORLD”はシーラEっぽい」(石川)。

 そして、石川の曲に歌詞を乗せるのは松井の担当。「石川のメロディーを聴くと、ここに〈シェー!〉を入れるんだな、ここに〈ウィッチ、ウィッチ〉だなってわかるんです」と松井。3人それぞれが作品を読み込み、しっかりとコミュニケーションを取っているからこその息が合った作業で曲を作り上げていく。

 「前に石川が〈サビだけ聴いたらCMみたいな曲作りをしてる〉って言ってたんです。だから、歌詞にもそういうキャッチーさを残そうと思ってて。〈ふしぎファンタジー〉(“Round&Round&Round”)とか、80年代のパルコのバーゲンのコピーみたいでしょ(笑)?」(松井)。

 キャッチーなメロディーと言葉。そして、テクノをベースにした多彩なサウンド。テクノボーイズは腕利きの職人集団であり、同時にアヴァンギャルドな音作りをポップにこなすマッドサイエンティスト的ユニットでもあるのだ。そんな彼らの新境地といえるのが、Disc-2のラストに収録された新曲“ORB”だ。リヴァーブを使った幻想的なサウンドは、石川が敬愛するヴァンゲリスに通じるところもある。

 「アニメ用に作った曲は、いろんな要素を詰め込んでいるから圧縮されたサウンドになっているんです。ただ、最近は、逆に外に広がっていくような音楽をやりたいと思っていて。いまリヴァーブがすごくクリアになってきているから、残響がちゃんと聴こえる音楽をやってみたいと思って作ったのがこの曲です。こういうサウンドでアルバムを一枚作ってみたいですね」(石川)。

 そして、アニメだけではなく、洋画や海外ドラマのサントラもやってみたいという3人。「どんどん新しいことをやっていかないと、僕ら飽きちゃうんで」(松井)という好奇心が彼らの原動力になっている。取材の時も笑いが絶えなかったが、音楽と戯れるように曲を作る彼らは、25年を経ても変わらずテクノを愛する無邪気な〈少年たち(ボーイズ)〉なのだ。

TECHNOBOYS PULCRAFT GREEN-FUND関連の作品を一部紹介。

 

TECHNOBOYS PULCRAFT GREEN-FUNDが手掛けた劇伴集。

 

MUSIC FOR ANIMATIONS』に参加したシンガーの作品を一部紹介。

 

40周年プレイリスト
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