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石ころをダイヤに変えてきた輪入道の足跡

 平成2年に生まれ、千葉で育った輪入道は、17歳の時に初挑戦したMCバトル〈REPRESENT MC BATTLE〉で初優勝して以来、マイク一本で現場を沸かせてきた叩き上げのラッパーだ。〈BBOY PARK〉出演を果たし、〈千葉のヤンキーラッパー〉なる肩書きでTVにも出た19歳の頃には鬼の率いる赤落PRODUCTIONに所属し、アルバム制作を進めるもお蔵入りに(『助太刀』で蔵出しされた“チンピラ”はその収録曲)。その後はバトルで好成績を残しつつ、ライヴも持ち曲やリリックを用意せず常に即興で行うという特殊なスタイルを選び、生粋のフリースタイラーとして知名度を上げていった。

 自身のレーベルを立ち上げて2013年に発表した初のアルバム『片割れ』も、DJ OLDFASHIONによる熱い“叩き上げ”をはじめ、D-EARTHやSalty、DJ松永らのブルージーなビートに乗って全曲フリースタイルで録音したという作品。そのあたりから客演も増やしていき、RAIZENやDJ Deckstream、UZI、SIMON JAP、妄走族、平石佳啓、ACE、RIN a.k.a 貫井りらん、DJ KEN KANEKOらの楽曲に次々と参加する一方、並行して首都圏の6大会を連覇するなどバトルでも破竹の強さを誇った。

 そんな歩みの転機となったのは2017年の2作目『左回りの時計』だろう。〈残るもの〉として曲を作意識を強めた同作は、リラクシンな“徳之島”やハードで無頼な“俺はやる”などを収め、彼の人間味を深く知らしめる傑作となった。2018年の年明けには狐火“27才のリアル”を自作のリリックで公開。切実でリアルな内容が話題になった同曲を冒頭に置く編集盤『助太刀』では、DOTAMA×MU-TONとの“TAG SHIT”のような初CD化音源も含め、ここ数年のコラボも聴くことができる。他にもまだまだある共演の数々は下に並べた各人の作品などでチェックしていただきたい。

輪入道のアルバム。

 

『助太刀』に入っていない輪入道の助太刀曲が聴ける作品を一部紹介。