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原田珠々華『はじめての青』へのイントロダクション

原田珠々華『はじめての青』へのイントロダクション

 16歳の誕生日を迎えた昨年6月24日、その数日前に書き上げたという“Fifteen”をギターの弾き語りで披露して、ソロ・アーティストとして帰ってきた原田珠々華。同曲は過ぎ去っていく〈15歳〉の日々に別れを告げる瑞々しいナンバーでした。彼女にとっての15歳は、所属していたアイドルネッサンスでの懸命な活動と、その解散を経験し、一人で歌っていく決心にまで至った激動の日々。学生生活を送りながらさまざまなことを吸収して曲作りに励んでいる16歳の彼女にとって、そんな〈戻らない青〉への想いは、いまも心の奥底にあって創作の源泉にもなっているのだと言えましょう。

 初めてソロ・ステージを踏んだ8月の〈TOKYO IDOL FESTIVAL〉では5曲を用意して臨み、11月にはそこから“Fifteen”をデビュー・シングルとして配信。12月13日にWWWで行ったバンド編成での〈ハジマリのオト〉、23日に下北沢GARDENで行った弾き語りでの〈title〉という二本立てのワンマンに挑む頃には、すでにライヴでのレパートリーは15曲にも及んでいました。そんな原田をプロデューサー/アレンジャーとして支えているのは、元The Cigavettesでくるりや銀杏BOYZのサポートも務めるギタリストの山本幹宗。バンド・セットによる初ワンマン〈ハジマリのオト〉でも、山本を中心に野崎泰弘(キーボード)、おかもとえみ(フレンズ:ベース)、井上陽介(Turntable Films、Subtle Control、Peg & Awl:ギター/バンジョー)、戸高亮太(ドラムス)、Asuka Mochizuki(ヴァイオリン)といった頼もしい面々がバックアップ。そうした先輩ミュージシャンたちとの交流が彼女の意識に与えた影響も大きいのでしょう。

 今年に入って、2月には配信シングル第2弾となる“Moon Light”をリリース。これはアコースティック・セットの〈title〉にて初披露されたもので、夏目漱石が〈I love you〉を〈月が綺麗ですね〉と訳したという逸話を元にしたというリリカルなナンバーです。ここでもある種の象徴として〈青〉が彩色されているのも彼女らしいところ。グループ時代から縁のあった頃安祐良が監督するMVも二面性を表現した印象的な仕上がりでした。そのように忙しく動きながら着々と制作を進めてきたのが、このたび完成した初のCD作品となるファースト・ミニ・アルバム『はじめての青』です。

 

原田珠々華 はじめての青 TOWER RECORDS(2019)

 今回収録されるのは“Fifteen”と“Moon Light”を含め、自身で作詞/作曲を手掛けた全7曲。アレンジはすべて山本幹宗が担当し、ワンマンの際のバンド・セットに近いプレイヤー陣に加え、ベースに上野恒星(Yogee New Waves)、ドラムスには岡山健二(classicus)と浜公氣(どついたるねん)も迎えています。ワンマンの副題でもあった軽快な“ハジマリのオト”(作曲は山本との共作)でポジティヴに幕を開けるアルバムは、本人が言うところの〈さまざまな心の移り変わりや成長〉を窺わせるもの。“今年の夏休みは君とデートに行きたい”と“Hero”はいずれも先述の〈TIF〉で初披露された活動当初からの曲で、とりわけ詞の端々にグループ時代の“前髪”へのオマージュを忍ばせながら〈やりきった後の空はやけに青く見えたんだ〉と歌う“Hero”に込められた気持ちの深さは言うまでもないはずです。

 そのように美しい過去から導かれた楽曲がある一方で、進行形の感情を言葉にしたように思えるのが〈ハジマリのオト〉で初披露された“聞いてよ”と“プレイリスト”の2曲でしょう。〈目的もない青い春〉を歌った“聞いてよ”はもっとも刹那的で強い言葉が刻まれた鮮烈な一曲。違う意味で同世代の共感性も高そうな“プレイリスト”は、秘めた恋心を爽やかに表現したポップ・チューンで、こちらはミニ・アルバムのリリースに先駆けて第3弾シングルとして配信される予定となっています。

と、このように短期間での心の変遷をドキュメントしたような『はじめての青』。そのリリースはまだ少し先なので、彼女自身にはまた来月号で語ってもらうことにしましょう。 【次号へ続く】

 


原田珠々華
2002年生まれ、神奈川出身のシンガー・ソングライター。幼少期よりモデル/タレントとして活動し、2016年6月にアイドルネッサンスに加入する。グループ在籍時からギターの弾き語りでカヴァー動画を発信する一方、ソングライティングも開始。2018年2月のグループ解散後、同年6月にソロでの活動再開を報告し、8月の〈TOKYO IDOL FESTIVAL〉で初のパフォーマンスを披露する。11月には初のオリジナル曲“Fifteen”を配信リリース。12月には初のワンマンライブを渋谷WWWと下北沢GARDENで開催。今年に入って“Moon Light”と“プレイリスト”の配信を経て、ファースト・ミニ・アルバム『はじめての青』(TOWER RECORDS)を4月24日にリリースする。

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