灰色デ・ロッシ名義でのアルバム2枚と、〈青の時代〉の終焉を謳ったベスト盤を挿んで、2014年の『King Of Conscious』以来となるHAIIRO DE ROSSI名義でのアルバムが完成。その間の剥き出しの創作も胸に迫るものがあったが、今回は久々に盟友Pigeondustと再会し、ジャズに影響を受けて自身のスタイルを確立していった登場時のような(いわゆる)音楽的に聴かせるBLUEなムードへの回帰が試みられたものだ。先行で公開された“風吹く街”に顕著なように、いわゆるジャジー&メロウなループと流れるように弾むフロウの好相性が約束する心地良さは言うまでもないが、当然のように経験を刻んでエモーションを蓄えた言葉の深みは往時とは色味を異にする。幕切れの“TAXI.”が夜闇を照らすような美しさ。