甘美なイントロからバレアリックな色彩に満ちた“Summer of Love”が流れ出した瞬間の気持ち良さと、その恍惚がラストまで持続する凄まじさ。メジャー移籍後の初のアルバムで彼らは、新たなアプローチも交えながらデビュー以来の逃避的でユーフォリックなサウンドを深化させており、メンバーの角舘健悟が〈島3部作・完〉と称する通り、これまでの総決算にしてこの先をも提示した作品と言えるだろう。心沸き立つ序盤から、都市のサイケデリアをじっくりと炙り出すディープな中盤への展開も見事だが、それらを経て後半、〈花束をあげよう〉という“Bluemin' Days”のフレーズに象徴されるようなポジティヴィティーへ辿り着くことに胸を揺さぶられるし、本作の真価はそこにこそあるに違いない。