COLUMN

注目のSSWコナー・ヤングブラッドの魅力を、avengers in sci-fi 木幡太郎、TAMTAM 高橋アフィ、MONO NO AWARE 柳澤豊が考える

コナー・ヤングブラッド初来日記念特集①

昨年にデビュー・アルバム『Cheyenne』をリリースしたシンガー・ソングライター、コナー・ヤングブラッドが初の来日公演を4月15日(月)にBillboard Live TOKYOで、4月17日(水)にBillboard Live OSAKAで開催する。

『Cheyenne』はボン・イヴェールやライ、スフィアン・スティーヴンスらとも共振するサウンドであると高く評価され、新世代のSSWとして注目を集めるコナー。プロフィールと音楽性については、下記にリンクした岡村詩野氏によるコラム記事をチェックしてほしいが、ここでは来日を目前に、5名のアーティストがコナーの魅力と公演に向けた期待を綴ったコメントを掲載する。その第一弾として、本日はavengers in sci-fiの木幡太郎(ギター/ヴォーカル/シンセサイザー)、TAMTAMの高橋アフィ(ドラムス)、MONO NO AWAREの柳澤豊(ドラムス)の3名のコメントを公開。

★ROTH BART BARON三船、TAISHI IWAMIによるコメントはこちら

最新のインタヴューによると、来日公演ではベーシストとの2名編成で『Cheyenne』のすべてをライヴ・ヴァージョンにアレンジして演奏するとのこと。アルバム同様にギターにシンセ、クラリネットなどさまざまな楽器を用いての演奏となるようで、そのマジカルなステージに期待が高まる。下記を読んでぜひ、公演に足を運んでみてほしい。 *Mikiki編集部

 


高橋アフィ(TAMTAM)

《シンガー》だけではなく、数々の楽器を演奏する《プレイヤー》、それがコナー・ヤングブラッドだ。『Cheyenne』のシンプルさ/複雑さ、ベッドルーム的/開放的と異なる印象が両立する大きな要因の一つは、本作がシンプルで美しいメロディが目立つ素晴らしい〈歌〉のアルバムであると同時に、メロディが多層的に重なる〈楽器〉のアルバムであることだろう。

1曲目でありタイトル曲“Cheyenne”は弾き語りから、ボーカルが徐々に楽器に混じっていき、ボーカルと楽器の境目が曖昧になったところで終わる。これは歌と楽器がメロディを分け隔てなく担当することで、多層的で軽やかな質感を実現しているのではないか。そう思えば、2曲目“Los Angeles”のタンバリンの妙な音の大きさと位相のヘンテコさ、8曲目“Red.23”の後半の盛り上がりに歌が不在なこと(そして代わりに緩やかに楽器が加わること)なども、SSWの作品として考えると異色だが、〈楽器も聴くべき作品〉と思うとわかりやすい。ギターやピアノ、管楽器からハープまでがボーカルと入れ替わり立ち替わり出現することで、〈一人で作り上げた端正な〉〈開放的で壮大な〉作品となっているように思う。ボーカルの比重の軽さ、あるいはそれぞれの楽器もメロディとして機能しているという意味では、ソランジュ『When I Get Home』と近い気もする。

歌の実力は勿論だが、メロディアスなプレイヤーでもあるからこそ、ライブはきっと素晴らしいものになるだろう。特にギター・プレイは、アルバムの印象からすると意外なほどロック・ヒーロー的な雰囲気もあり見応え十分。是非ギターのニュアンスの美しさに注目してもらいたい。

高橋アフィ

TAMTAMのドラムの他、文章やDJ等。好きな音楽は新譜、趣味はYouTube巡り。最近のお気に入りは「Skinny Pelembe」。 @Tomokuti

 

柳澤豊(MONO NO AWARE)

表題曲、“Cheyenne”のMVを初めて観たとき、生い茂る緑の中に佇むド派手な車に、フランク・オーシャンの『Nostalgia, Ultra』のアートワークを思い出した。

同じように、コナー・ヤングブラッドの音楽を聴けばその端々に、ボン・イヴェールやスフィアン・スティーブンスなどのアーティストからの影響を少なからず感じるだろう。だが、コナー・ヤングブラッドの音楽の魅力はそこだけではない。世界中を旅して書きあげられたという本作は、彼が訪れたフィンランドの大自然や、日本の情景を撮影したMVにも現れているように、訪れた先で何を感じ、何を思い出したか、彼の記憶の中に入り込んでいくかのような感覚に浸らせる音のレイヤーとヴォーカルがこのアルバムの魅力であると思う。

アルバムの曲を一人で音を重ねて作り上げたように、マルチに楽器を演奏するコナー・ヤングブラッドは、YouTubeで上がっているライブ映像も一人で行なっているものばかりだ。

ビルボードの詳細を見ると、今回の来日ではベンジャミン・ウィリアムスというベーシストを連れての公演らしく、映像では見られないコナー・ヤングブラッドの姿を観ることができるだろう。

柳澤豊

1993年生まれ。15歳の時にドラムを始める。現在はMONO NO AWARE、Jurassic Boys、Poor Vacation、TERADARUMAなど、サポート含め、様々なバンドでドラマーとして活動している。 @yutaka_yanagi

 

木幡太郎(avengers in sci-fi)

AIやらディープラーニングやら(もちろんスマホも)SFじみたテクノロジーが次々と実現している昨今、人間VS機械の全面戦争なんてシナリオも俄然現実味を帯びてきているので、これからは夜間道のど真ん中に全裸でうずくまってるマッチョには迂闊に近寄らない方が良いだろう。そいつは未来から送り込まれた殺人サイボーグの可能性が高い。

と言うわけで……意思を持った機械が蜂起するかはさておき、確実視されているのがいくつかの職業の消滅である。AIの加速度的な進歩によって人間の仕事が機械に奪われるのだという。

当然ミュージシャンはどうなる?という問いが去来するわけだが、実はAIにその立場を奪われるまでもなくひっそりと絶滅危惧職と化しておられたのがミュージシャンである。

〈CDが売れないのでプロとして成立しない〉とかそういう類の話をしたいのではない。

DAWとインターネットの発達でPC一台で誰もがハイクオリティな音楽を作り世界に発信できる時代が訪れた。配信やアフィリエイトで金も稼げる。要するにプロとアマ、ミュージシャンと非ミュージシャンの境界が曖昧になり、どいつもこいつもがミュージシャンに成れてしまう時代にあっては、ミュージシャンとかいう枠組みはもはや化石のようなもんなのである。

 

で、肝心のコナー・ヤングブラッドである。旅の途中で目に留まった風景をスケッチしていくような作風(実際各地を旅して回っているという事なのでそこからインスピレーションを得ているのは間違いないだろう)は、職業=旅人みたいな、ちょっと前なら冗談でしかないような生き方が普通に成立する世界の始まりを告げているようでもある。

「職業は旅人っす! 旅の途中で曲も作るっす!」みたいな(笑)。

AIに職を奪われた人間はどうするのか。一説によると遊びが職業になるらしいですよ。どいつもこいつもふらっと旅しながら気が向いたときにギターでも弾くくらいしかやることない世界。最高だな!

そう考えれば、ミュージシャンとはある意味決して無くならない職業でもある。

音楽なんて最初は遊びの中で作るものだ。それがいつしか芸術と呼ばれたり職業になったりと、なんとも窮屈な器に押し込められてしまったものである。旅も作曲も人生の一部であり、息をするようにひたすら自然な心象の発露であるとでも言いたげなコナー・ヤングブラッドのこのアルバム。これが音楽が本来の在り処に帰ってくる途上の姿だと思いたい。

“The Birds Of Finland”に“Stockholm”など確実にその土地を訪れて書いたであろう曲達。今回、Tokyoで彼はどんな曲を書くんだろうか。「実は超インドアなんだ。Googleの画像検索とインスタでインスピレーションを得ているよ」とかはやめてくれよ(笑)!

avengers in sci-fi(アベンジャーズインサイファイ)

木幡太郎(ギター/ヴォーカル/シンセサイザー)、稲見喜彦(ベース/ヴォーカル/シンセサイザー)、長谷川正法(ドラムス/コーラス)からなる3ピース・バンド。高校の同級生同士だった木幡と稲見に長谷川が加わり2002年頃から活動を開始する。2004年12月に初の正式音源となるミニ・アルバム『avengers in sci-fi』を発表。ジャンルや形式にとらわれないスタイルで繰り出すスペーシーなサウンドが人気を博す。

2007年には、新人バンドの登竜門と言われる〈FUJI ROCK FESTIVAL ‘07〉の〈ROOKIE A GO-GO〉ステージに出演。2009年にはミニ・アルバム『jupiter jupiter』をリリースしたほか、木村カエラのシングル“BANZAI”をプロデュースして話題を集めた。2014年6月に5thアルバム『Unknown Tokyo Blues』をリリース。コンスタントにライヴを重ねつつ、2016年に6thアルバム『Dune』を発表した。

2017年に結成15周年を迎え、レーベル機能などを持ったプロジェクト〈SCIENCE ACTION〉を立ち上げ。2018年3月に15周年イヤーの締めくくりとなる自主企画ライヴ・イヴェント〈SCIENCE MASSIVE ACTION〉を東京・新木場STUDIO COASTで開催した。2019年4月にはVJが帯同する東名阪ツアー〈Club Nowhere〉を開催、会場限定CD『Nowhere』をリリース。初日の東京・WWW X公演の模様を収めた初のライヴ映像作品「Live at Club Nowhere」のDVD化も決定している。 http://www.avengers.jp/

 


Live Information
コナー・ヤングブラッド

2019年4月15日(月)Billboard Live TOKYO
1stステージ 開場17:30/開演18:30
2ndステージ 開場20:30/開演21:30
サービスエリア 6,500円/カジュアルエリア 5,500円
★詳細はこちら

2019年4月17日(水)Billboard Live OSAKA
1stステージ 開場17:30/開演18:30
2ndステージ 開場20:30/開演21:30
サービスエリア 6,900円/カジュアルエリア 5,900円
★詳細はこちら

●来日予定メンバー
コナー・ヤングブラッド(ヴォーカル/ギター/アコーディオンなど)
ベンジャミン・ウィリアムズ(ベース)

40周年プレイリスト
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