前作『Oxnard』と同時期に完成していたというアルバムが半年のスパンで登場。〈1つは気骨のある感じで、もう1つはスウィートになる〉と本人が語っていた通り、前作の骨太な印象とは違うしなやかさと抜けの良さが際立っている。スモーキー・ロビンソンが歌う、往年のソウルと見紛うばかりの“Make It Better”の生音、“Reachin' 2 Much”の品の良いブギー風味、ネイト・ドッグを召喚した終曲“What Can We Do”のGファンクとサザン・ソウルを溶け合わせたようなグルーヴに至るまで、ヴァーサタイルなサウンドと良質なメロディーの宝庫だ。でもどこか掴みどころがあるようでないまま何周も聴いてしまうのは、全曲の平均点が高すぎるから? 何にせよ、ひたすらに滑らかで快い楽曲が耳を通り抜けていく逸品。