2017年から2018年にかけてのアンビエント・プロジェクト〈Phantom Brickworks〉シリーズを経て、スタジオ作品としては3年ぶりとなる9作目。数曲で用いられた過去のソウル・ミュージックからのサンプリングを除けば、作曲/作詞/歌唱はもちろんのこと、とりわけ印象的な調べを奏でるギター、マンドリン、バイオリンといったさまざまな弦楽器の音色に至るまで、本作から流れ出る音はすべて彼の手によるもの。アイリッシュなトラッド・フォークをドリーミーな歌唱で包んだ先行曲“Curls”、サンプリングのビートをバックに歌い上げる“Old Graffiti”をはじめ、自身が強く影響を受けたという60~70年代のフォーク・ミュージックを下敷きにしながら編み上げた音は、ただただ美しい。