Omodaka Monkey Turn Far East Recording, JET SET(2019)

ジャパニーズ・ハウス・ミュージックの父、寺田創一による〈テクノ民謡プロジェクト〉=Omodakaが、新作7インチをリリース&12インチをリイシュー。まずは新作の『Hietsuki Bushi』。2011年作『Sanosa』収録曲で、宮崎民謡を大胆にテクノ・アレンジしたタイトル曲は、Omodaka作品には欠かすことができない民謡歌手・金沢明子の歌と篳篥による和の要素、そして8ビット的で美しいトリルのテクノ・サウンドを見事に融合した名曲。カップリングには、これまた岐阜の民謡をエレクトロなマンボに大胆アレンジした未発表曲“Gujoh Bushi”を収録。両曲とも、遠い過去へのノスタルジーと近未来への憧れが同居する不思議な楽曲に仕上がっている。一言で簡単に喩えてしまえば〈抹茶オレ〉のようなものなのだが、このマリアージュの発見は〈新時代の日本音楽〉と呼ぶに相応しいものだろう。

一方のリイシューは、2001年に寺田が愛する競艇をテーマに制作された『MONKEY TURN』。あっという間に過ぎ去る競艇の一瞬を悠久の時のごとく捉えた表題曲と、自身の別名義であるFERでのセルフ・リミックス、コモエスタ八重樫、Dub Master Xによるリミックスの計4曲を収録している。