INTERVIEW

RYUTistを吉田豪が徹底解剖! “センシティブサイン”リリース記念、メンバー個別インタヴュー:宇野友恵編

Page 2 / 2

歳も近くて一緒にいることが多かったわっかーの卒業は、寂しかった

――そしてRYUTistの活動の話に戻りますけど、わっかー(大石若奈)の卒業はまったく予想してなかったんですよ。

「あのときは寂しいなっていうのと、わっかーは毎日長岡から通って、勉強もしっかりできる子だったので、そことのバランスが取れなくなっちゃったんだなっていうのは見ててわかってたので、わっかーが選んだ道なら尊重して応援しようっていう気持ちでしたね。でも当時、ののむぅ(佐藤乃々子×五十嵐夢羽)、ともわか(宇野友恵×大石若奈)っていう組み合わせが多かったので、歳も近くて一緒にいることが多くて。プライベートでも唯一わっかーとは一緒にお出かけしたりしてたので、かなり寂しかったですね」

――勉強を本気でやろうとすると両立は難しいんですかね。

「そうなのかもしれないですけど……私も実現できた人じゃないから(笑)。でも、ハロプロさんとか大学に行ってる方もいらっしゃいますからね」

――ハローは通知表を提出させますからね。チェックしてダメだったらキッチリ勉強させて。

「すごいちゃんとしてますね」

――ちゃんとしてますよ。そこもケアがあるから大手はすごいなって思いますけど。

「すごいですね、カッコいいな。鈴木愛理ちゃんとか慶應ですもんね。あの忙しさでどうやって勉強する時間を作れるんだろうと思って」

――ちゃんと頭が良くてちゃんとかわいくてちゃんと歌上手くて、なんなんだっていう。

「完璧ですよね、素晴らしい!」

――しかもちゃんと隙もあって話すとボロが出る感じとか、最高ですよ。

「滑舌悪いとか、かわいいですよね」

――それに比べたら自分は空っぽだなとか思ってたわけですか。

「はい、ホントに空っぽだなって」

――その後、なんとか中身は詰まってはきたんですか?

「うーん……多少は。ちょっとだけあるかなって思います。静かじゃないけど、そんなワチャワチャする感じでもなくて、メンバーの中ではたまにしゃべるっていう感じの」

――たまにしゃべる?

「いや、なんか……自由奔放にやらせてもらってると思います。のんのはお姉さんでむぅたんはしっかりしてるけど妹系のキャラで、みくちゃんは完全に突っ走る感じ。そこに私がちょっとツッコミ入れたり、キャラの確立はしてきたかなって思います」

――変な寝方をする人とか、そういう認識のされ方もしてきて。

「恥ずかしいです! でも、あれ気持ちいいんですよね。ちょっと頭に血が上る感じが気持ちよくて」

※変な寝方
 

――ちょっとやってみようかなあ。

「ぜひ!」

――最近は完全に〈変な寝方をする人〉っていう認識ですね。

「そこですか(笑)。あれ落ち着くんです、オーディションのときもやってました。こうやるとここが密閉されるので」

――空間が空いてるとちょっと不安だけど、〈セルフハグ〉みたいな安心感があるんですかね。

「〈セルフハグ〉! そうですね、まさにそれです」

――まっくろくろすけが見えなくなっても、多少の不思議ちゃん感は残ってるんだと思いますよ。

「そうですかね。でも、これは素ですよ」

――この前のTWEEDEES & ROUND TABLE(北川勝利)との座談会でも思いましたけど、音楽的な能力とか、そういう部分の評価も上がってる気がします。

「いや、ぜんぜんそんなことないですよ。誰でもやればできることだと思うんですけど。たまたまメンバーのなかに音符がわかる子がいないだけで。女の子ってピアノ習う子はいっぱいいると思うので、私だけがすごいって感じでは絶対ないと思います」

――あの記事が公開されてから〈ともちぃすげえ!〉みたいな空気ができたけど、たいしたことはない?

「ぜんぜんたいしたことないです」

――〈これ、音違うんじゃないですか?〉みたいな指摘までできるのに?

「それは、そこ1個違って録り直しになったら申し訳ないっていうのがあるし。新潟でいつもレコーディングしてて、東京さんのほうから来ていただいてるので、それはちょっと……ゲホゲホッ、すみません」

――大丈夫ですよ、お茶でも飲んでください。

「水分を摂らないとダメですね、ゲホゲホッ。すみません。最近、私は水分を摂らないとダメな人なんだって気づいて」

――みんなそうですよ。

「フフフフフ、みんな一緒か。いっぱい摂っちゃうんですよ、コップ1杯飲んだらすぐ次いっちゃうんですよ。メンバーに〈ともちぃっていっぱい水分を摂るよね〉って言われて、私ってそんな人なんだと思って。常に砂漠にいるような人なんだなって」

――常に砂漠(笑)。いっぱい水を飲んだほうが健康になるはずなんですよ。

「よかったです(笑)」

 

突然、声を張って歌うことができなくなっちゃって

――RYUTistの活動で壁にぶつかったようなことはあったんですか? 辞めようかと迷った瞬間とかは。

「歌ですかね。最初のほうは歌にあんまり苦労してなくて自由に歌う感じだったんですけど、高校卒業したぐらいから歌うのが怖くなっちゃって」

――何かきっかけはあったんですか?

「うーん……突然ですね。自分でもなんでかわからないんですけど、突然怖くなって声を張って歌うことができなくなっちゃって。すぐひっくり返っちゃったり音程が取れなくなることが多発して」

――それはちょっと感じてました。軽やかに歌ってたはずの人が不調になってるなって。

「はい、自由に歌えてたのに。なんでなんだろうって自分でもわからないままやってたんですけど。ちょっと気を張りすぎてたのかもしれないなと思って。それに気づいて治るまで2年ぐらいかかりましたね」

――いまはなんとか乗り越えて。

「そうですね、ずっと練習してました。張って歌うのができなくて、優しく歌うことはできるんですけど、声の乗りも悪くなってマイクに通らなくなっちゃって、だいぶどん底にいる感じがしましたね。みんなはふつうに歌えてるのに、なんで私だけ歌えなくなっちゃったんだろうと思って」

――そういう場合、だいたいメンタルの問題だと思ってます。

「ああ、そうなのかもしれないです。それで安部さんに〈気にしなくていいから、ひっくり返っちゃってもいいから思い切り歌いな〉って言われて、それをきっかけにちょっとだけよくなってきて。ヴォーカルの先生にもいっぱい見ていただいて、いまはだいぶ調子が出てきた感じがします」

――壁にぶつかりながらも辞めようって思うまでにはならなかった。

「ならなかったですね。RYUTistが嫌になったわけじゃなかったので、ただ歌えなくて苦しんでたって感じでした。でも、私の歌がしっかりしてないから、みんなには申し訳ないなと思って。ヴォーカル・リーダーでもあったので、あんまり相談できる人がいなくて。ヴォーカルの先生にいっぱい相談してたんですけど、メンバーには心配もかけてるし、ライヴも私のせいでよくなくなっちゃうから申し訳ないなってずっと思ってましたね」

――意外とそういうときは誰にも相談できない。

「うん……」

――みんなも悩んでることはわかってるわけですよね。

「そうなんですよね。RYUTistってあんまり悩みを打ち明けたりしないんですよ。たぶんこの子は悩んでるんだろうなと思ってても、よくも悪くも誰も何も言わないんです」

――さっきから話を聞いてると、メンバーが辞めるときも相談もなく全部突然なんですよね。

「そうなんです。みんないい子だから悩んでることも言わなかったりするので」

――ケンカとかしたことあるんですか?

「ないです。私からちょっとふっかけちゃうことはあるんですけど」

――ふっかける!

「みくちゃんが加入当初に、チョコッと怒っちゃったことがあったんですけど、誰も何も言わないんですよ。絶対に思ってるはずなのに。〈ともちぃ面倒くさいな〉って絶対思ってるはずなんですけど、何も言わないでいてくれるんですよね。逆に〈ともちぃが言ってくれるからいいんだよ〉って言ってくれて、いいメンバーを持ったなって思います。優しすぎるなって」

――平和なグループですよね。

「はい、平和です」

――どうしてこの平和が保ててるんだと思いますか?

「一定の距離感を持ってるからですかね。あんまりプライベートに入り込まない感じがします」

――さっき、初めてみんなで遊んだって話を聞きました。

「そうなんですよー! 先々週の話なんですけど、のんののお家にみんなで行って、のんのが最近飼い始めた猫のもこたに会いに行きました」

――それくらい一定の距離を保ってたのが変わってきたのって、横山さん効果はあるんですか?

「あります! 横山さん効果はかなり」

――ちょっと空気感が変わってきた気はしました。

「どんより……とはしてないですけど、暗い空気からパッと」

――おとなしいまじめな人たちが集まってるグループにひとり異物が入って。

「フフフフ、電気が点きました(笑)」

――プラスには転がってる気がします。脱退&加入についてはメンバーには言われてたんですか?

「同じタイミングで聞いた気がします。わっかーの卒業はすごく寂しかったんですけど、でもわっかーが決めたことだから応援してあげようと思って、卒業をお見送りしようっていう気持ちでやってて。同時にみくちゃんの加入が決まって私はすごく楽しみでした。個人的にはみくちゃんの顔がすごく好きで。笑ったときの目のラインと口の上のラインが平行なんですよ、それがどストライクで!」

――かなり伝わりづらいマニアックなコメントですけど(笑)。

「すごい好きなんですよ。こんなかわいい子がウチに来るんだと思って、とてもワクワクしました」

――そういうちょっとアイドルヲタ的な視点で喜んでたんですね。

「そうですね、ぜんぜん心配とかしてなかったです」

――キャリアの違う子が入って大丈夫かな、みたいなことはなく。

「まったくなかったですね、逆にみくちゃんがRYUTistに入りたいと思ってるのかなっていうほうが心配でした」

――結果オーライでしたよね。

「はい、よかったです」

まだ空っぽの空っぽだけど……作詞とかコラムのようなものを書いてみたいな

――活動に手応えを感じはじめた瞬間みたいなものはありました?

「新潟でいまいろんなTVCMさんとかに出演させていただいてるんですけど、ホントに最近、声をかけていただけるようになりました。〈RYUTistだ!〉とか。メンバーと一緒に街を歩いてると、〈RYUTistの子じゃない?〉って言っていただいたり」

――〈警察のポスターやってる子だよね?〉みたいな。

「フフフフ、やってますね。うれしいです。前までは見向きもされなかったのに」

――あと、ハコイリ♡ムスメみたいないわゆる正統派アイドルとコラボするのは(柳♡箱)どういう感覚ですか?

「ハコムスさんの自由さがすごく勉強になりました。RYUTistはだいぶ……」

――ちゃんとしつけられた人たちですからね。

「ずっと〈気をつけ〉をしてる感じなんですけど、ハコムスさんの自由感がすごく刺激になって」

柳♡箱の2018年のシングル“ともだち”
 

――どっちかっていうと、こっちのほうが箱に入ってますからね(笑)。

「そうですね、だいぶお勉強になりました。みくちゃんが入ってくれたのもそうなんですけど、ハコムスさんと一緒にやらせていただくようになってから、(RYUTistの)メンバーの人間らしさというか、チョコッとしゃべれるようになったなって思います。ワチャワチャできるようになりました」

――〈そうか、アイドルってこれくらいワチャワチャしていいものなんだ〉みたいなものを学習した。

「はい、間近で見て〈いいんだ!〉って思って。

――こんなカッチリとやらなくていいんだって。

「逆になんでこんなカッチリしてたんだろうって不思議になるぐらいですね」

――そうなんです、カッチリしすぎてたんですよ!

「フフフフ。そこに気づけました。みんなかわいいんですよね、ハコムスさん」

――アイドルヲタ的な目線で見たら最高でしょうね。

「はい、あんなかわいい子たちと近くにいて一緒に歌える。もっと仲良くなりたいんですけど、なかなか自分から行けないんですよね」

――そんな人たちの集まりですからね。でも、ハコムスとのコラボが変わるきっかけになった、と。

「なりました。ハコムスさんの存在は大きいと思います」

――RYUTistのメンバーそれぞれが違う影響を受けてる感じがしておもしろいですね。そして、いろんな影響を受けて空っぽだった人が変わってるんだと思うんですよ。いい感じで人間になってきて。

「はい、人間になってきました(笑)」

――いまは何をやってるのが楽しいですか?

「いまが一番楽しいかもしれないです。RYUTistはもちろん、お家でもいままでずっと寝てたりしてたんですけど、料理したりお洗濯したりお皿洗ったりするようになって、毎日楽しいです」

――大学に落ちたのも悪いことだけじゃないんでしょうね。いろんなことをする時間もできるし。ボクも1年無職だったんですけど、あれも絶対に無駄じゃないんですよ。二度とあの時間に戻りたくないっていう思いがあるから。

「そうですね、寝てばっかりの生活はもう二度としたくない(笑)」

――ダハハハハ! 同じですね(笑)。だからボク、どんなに忙しくても耐えられるんですよ。

「すごいですね。私たぶんそのうち飽きちゃう気がします。習いごともそうだったので。だから絶対に毎日やろうと思って。1回でもやらなくなったら絶対一生やらないと思ってがんばってます」

――1回サボッたらそのまま……。

「フェードアウト(笑)」

――そんな人が、よくRYUTistは続きましたね。

「そうですね。RYUTistは楽しいです。たぶん同じことをしないからだと思うんですよ。ライヴをしてるっていうことは一緒なんですけど、いろんなところでやったり」

――曲もどんどん変わっていくし、来る人もいつも違うし。

「いろんな出会いがあったりして、すごく楽しいです」

――この先も続けていけそうですか?

「続けていきたいです。相当なことがないと辞めないと思います」

――相当なことってどんなことですか?

「お父さんが定年だからとか、そういうことですかね」

――お父さんが定年で辞めなきゃいけない理由ってあります?

「私が働かないと」

――ああ、金銭的にもうちょっと稼げないと。それも学校に行ってたみたいに、平日昼だけ働けばいいぐらいじゃないですか?

「あ、そうか。そうですね。あとは事務所が何もなければ(笑)」

――なんですかそれ! やりたい仕事とかはあるんですか?

「チョコッとやってみたいことはあります。作詞とかコラム的な感じのことをやってみたいなっていうのはあるんですけど、でもまだ空っぽの空っぽなので」

――まだ空っぽ?

「言葉が出てこないんですよ。1回だけ書評を書かせていただいたことがあったんですけど、何を書けばいいかわからなくて。けっこう文字数あるじゃないですか。私の感覚だと5行ぐらいで終わっちゃうんですよね」

――〈おもしろかったです。ここがよかった。以上!〉ぐらいの。

「そういう感じになっちゃうので、コラムとか書かれてる方のすごさがわかりました」

――ボクは昔から卑怯な手を使ってて、書評とは名ばかりの〈引用書評〉って名乗ってるんですけど、おもしろいところをまず抜き出して、それをつないでいくんですよ。ボクの地の文とかどうでもいいから、それよりも本のおもしろいとこを読んでくれって感じで、その引用文にツッコんだりして。そういう書評だったら書けるはずですよ。

「なるほど。やりたいですね」

――やりたいって言ってると意外と仕事は来たりするんで。言わないと来ないですから、言い続けることが重要です。

「はい、言い続けます」

――意外と誰か見てるんですよ。

「どんどん言ってったほうがいいんですね。もっとお金が欲しいっていうのは……」

――お金はなかなか言っても来てくれないでしょうけど(笑)。お金を生むような仕事が来るかもしれないですしね。ローカル・アイドルはなかなか儲からない、実家暮らしだから成立するビジネスで、たいへんだと思うんですよ。

「はい。ひとり暮らしできるようにがんばります!」

 

関連アーティスト
タワーアカデミー
pagetop