キラ星スターが結集する、この夏一押しのオペラ

 〈人は何故、難しい謎に挑むのか?〉。これは太古の昔から現代まで、永遠に続く人生のテーマです。伝説の時代の北京でも、この謎に果敢に挑戦した若者がいた。絶世の美女だが、氷のように冷たい心を持った王女に魅せられて。3つの難問を解けなければ、首を撥ねられるというのに……。カラフは何故、命を賭けて謎に挑んだのか? その答えは、今年の夏に東京で鮮やかに解明されるかも知れない。

 2017年12月、大野和士の提案による大規模なオペラ・プロジェクト〈オペラ夏の祭典2019-20  Japan↔Tokyo↔World〉が発表され、大きな話題となった。それは2020年のオリンピック・パラリンピック開催を見据えた国際的なプロジェクトで、東京文化会館と新国立劇場が共同制作するという画期的な企画だ。初年度の2019年7月は、プッチーニの「トゥーランドット」が制作され、びわ湖ホールと札幌文化芸術劇場でも上演。

 「トゥーランドット」は、新国立劇場オペラ芸術監督でもある大野和士の指揮、オーケストラは大野が音楽監督を務めるバルセロナ交響楽団が24年ぶりに来日する。演出はバルセロナ・オリンピックの開会式を演出した人気演出家集団、ラ・フーラ・デルス・バウスの芸術監督アレックス・オリエという精鋭が顔を揃える。歌手はダブル・キャストで、国内外からキラ星のようなスターが結集する。トゥーランドット姫はワーグナー歌手としても活躍するイレーネ・テオリンと、DVDでも話題を呼んだバレンシア歌劇場(ラ・フーラ・デルス・バウスのカルルス・パドリッサ演出)「リング」でもブリュンヒルデを歌ったジェニファー・ウィルソン。またいまやフィギアスケートでは欠かせない曲となった“誰も寝てはならぬ”を歌うカラフには、注目の美男テナーが出演する。ルーマニア出身のテオドール・イリンカイがその人で、デビュー時はロドルフォやピンカートンを歌って将来を嘱望されていたのだが、近年はドン・カルロやカヴァラドッシなどスピント系テノールに成長した。凜々しいカラフ王子をいかに表現するか、乞うご期待。もう一人はカナダ出身のデヴィッド・ポメロイ。メトロポリタン歌劇場などで活躍する若手の逸材だ。リューには欧米一流歌劇場で大活躍の中村恵理と日本を代表するプリマ、砂川涼子の競演となる。さてどんな舞台になるのか。オリエは演出の構想を「カラフは権力を求めて謎を解く」と語っている。また「時代を超えた未来的な雰囲気にし、作品の価値観を見直すことを提案したい」とも。これまでにない斬新な舞台が、夏の東京文化会館に出現するかも知れない。

 


EVENT INFORMATION
オペラ夏の祭典2019-20 Japan↔Tokyo↔World『トゥーランドット』
2019年7月12日(金)東京・上野 東京文化会館 大ホール
開場/開演:17:45/18:30

2019年7月13日(土)東京・上野 東京文化会館 大ホール
開場/開演:13:15/14:00

2019年7月14日(日)東京・上野 東京文化会館 大ホール
開場/開演:13:15/14:00

■演目
プッチーニ:オペラ「トゥーランドット」(全3幕 イタリア語上演・字幕付)

出演:大野和士(指揮・総合プロデュース)/バルセロナ交響楽団/新国立劇場合唱団/藤原歌劇団合唱部/びわ湖ホール声楽アンサンブル/TOKYO FM少年合唱団
[7月12日&14日]イレーネ・テオリン(トゥーランドット)/テオドール・イリンカイ(カラフ)/中村恵理(リュー)/ッカルド・ザネッラート(ティムール)/持木弘(アルトゥム皇帝)/桝貴志(ピン)/与儀巧(パン)/村上敏明(ポン)/豊嶋祐壹(官吏)

[7月13日]ジェニファー・ウィルソン(トゥーランドット)/デヴィッド・ポメロイ(カラフ)/砂川涼子(リュー)/妻屋秀和(ティムール)/持木弘(アルトゥム皇帝)/森口賢二(ピン)/秋谷直之(パン)/糸賀修平(ポン)/成田眞(官吏)

https://opera-festival.com/