ほんま昔の人は三寒四温なんてよく言うたもんですね、とタクシーの運転手さんと話してました。会話のオッさん度合いを高めています。tofubeatsです。今年は東京の方が神戸より先に桜が咲いたようで、ようやく神戸で桜が咲いてきたらこんどは仕事で東京です。そんな春もまじで字のごとく東奔西走な私ですがそんな移動のお供をご紹介。

ミツメ Ghosts mitsume(2019)

先行シングル“エスパー”から明らかに角度高めのリリースが続いていたミツメが待望のフル・アルバムをリリース。いや、自分が待ってたんですが……全編にわたってタイトで無理のないサウンドもそうなのですが、グローバルの波が押し寄せるポップス界でストレートに配置された日本語詞にも注目したいです。シンプルなサウンド・デザインだからこそアレンジのちょっとした妙が浮き彫りになってくるのもいいですよね。優しい音楽なのですが芯がメチャクチャ太いのを感じます。最高!

 

細野晴臣 HOCHONO HOUSE スピードスター(2019)

一方細野御大はみずからの名盤をふたたび再構築。シンプルに〈宅録〉というのにも時代のモードがありますね。細野さんのラジオでも語られてましたがモダンなミックスに挑戦されたということで、メロディーなどは同じでも新たな味わいがあります。ただ“住所不定無職低収入”なんかを今カヴァーするのはつくづく不思議な気持ちだったと思うのですが、どうなんでしょうね。

 

さとうもか Merry go round Pヴァイン(2019)

面識もないのにめちゃ良い!となり、最終的には押しかけ的にコメントさせていただいた前作に続いて今回も春にバッチリな一枚。Tomggg氏の一見可愛いけど結構R&Bマナーなトラックも良い(小鉄さん監督のビデオもかわいいですね)ですが、出色モノは入江陽Pとのコラボ“ばかみたい”。シンプルな楽曲と思いきや一筆書きのようにドラマチックに進行するの、いいですねえ。でも曲中で恋愛は全然進展していないってのがまたグッときます。春ですねえ……。

 


tofubeats(トーフビーツ)
90年生まれ、神戸在住のトラックメイカー。自身の作品リリースのほか、iri、中島愛、鈴木京香、土岐麻子、夢眠ねむ、向井太一、ものんくる、大比良瑞希、TENDRE、平井堅らの楽曲を手掛けています。映画本編のソフト化に合わせた『「寝ても覚めても」オリジナル・サウンドトラック』も好評配信中。この4月には、すでに配信済みの“Plastic Love”(unBORDE)が新たなエディット/リマスタリングを施された7インチ・シングルでリリースされたばかり。最新情報は〈tofubeats.com〉にて!