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ESSENTIALS
入手しやすいオージェイズの名盤とその周辺

THE O'JAYS We'll Never Forget You -The Imperial Years 1963-66 Shout!(2012)

5人組だったインペリアル時代の作品集。63年の初ヒット“Lonely Drifter”をはじめ、後見人のHB・バーナムが中心となって制作した楽曲はドゥワップの作法を受け継ぐ仕上がりだ。ベニー・スペルマン名曲を歌った“Lipstick Traces(On A Cigarette)”(65年)はトミー・リピューマ最初期の制作仕事としてもお馴染み。ニック・デカロもアレンジで関わった青臭いポップ・ソウルが並ぶ。 *林

 

THE O'JAYS In Philadelphia Neptune/BBR(1970)

ギャンブル&ハフ主宰のネプチューンと契約し、初めて〈フィリー詣で〉をして吹き込んだ4人組時代のアルバム(後にPIRから再発)。洗練一歩手前の未完成なフィリー・サウンドをバックに歌うが、ダンサーの“One Night Affair”やノーザン感覚溢れる“Looky Looky(Look At Me Girl)”など、エディの荒々しいシャウトを中心としたスタイルはここで完成されていた。スロウも聴かせる。 *林

 

THE O'JAYS Super Bad Little Star/Pヴァイン(1971)

〈フィリー詣で〉の後、いったんクリーヴランドに戻った際に再契約したHB・バーナムのリトル・スターから発表。サルでのシングル音源も含むオハイオ&西海岸録音のアルバムで、ジャケットから伝わるファンキネスやニュー・ソウル・テイストを交えて愛や平和を歌っていく。メロウ・グルーヴの“Crossroads Of Life”など適度なイナタさが味わい深い。PIRでの爆発前夜の熱を感じる一枚。 *林

 

THE O'JAYS Back Stabbers Philadelphia International(1972)

〈裏切り者のテーマ〉という邦題がついた表題曲と“Love Train”の2大ヒットを含むPIRでの初作。ギャンブル&ハフが制作し、マクファデン&ホワイトヘッドらもペンを交えたフィリー・ソウルの金字塔で、MFSBの流麗なサウンドをバックにエディとウィルターが火花を散らすかの如く熱く掛け合う。豪奢なダンサー“992 Argum ents”、ディープなスロウ“Sunshine”もグループ屈指の名曲だ。 *林

 

THE O'JAYS Ship Ahoy Philadelphia International(1973)

10分近い表題曲で奴隷船を真正面から取り上げ、環境汚染なども主題とした社会派のメッセージ・アルバム。ギャンブル&ハフの理念とソウルフルな歌唱の説得力がマッチし、重めの内容ながらも初のソウル・チャート首位を獲得した。路上感を纏った“For The Love Of Money”や快活なアップ“Put Your Hands Together”といったTOP10ヒットを軸に、曲単位で見ても粒揃いの一枚だ。 *出嶌

 

THE O'JAYS Family Reunion Philadelphia International(1975)

団結を謳ったダンサー“Unity”を筆頭に、成熟したヴォーカルと絶頂期のフィリー・サウンドを聴かせる名盤。ディスコ全盛期の到来を告げるような“Livin' For The Weekend”や“I Love Music”、映画「大統領の執事の涙」でも効果的に使われたスロウの表題曲、90年代にピュア・ソウルのカヴァー(リミックスで共演)も話題になった“Stairway To Heaven”など、とにかくスケールが大きい。 *林

 

THE O'JAYS Message In The Music Philadelphia International(1976)

改めて自身の立ち位置を表明した表題も相応しい黄金期の傑作。昂揚感を帯びたスピリチュアルなダンサー“Message In Our Music”と、麗しいアレンジの光る直球のラヴソング“Darlin' Darlin' Baby(Sweet, Tender, Love)”といったNo.1ヒット群や、バニー・シグラー制作の“I Swear, I Love No One But You”を収録。翌年亡くなるウィリアム・パウエルが参加した最後の作品でもある。 *出嶌

 

TRUTH Truth 2 A Taste Of Philadephia DYOB/MAGNUM CAT(2011)

元オージェイズのボビー・マッシーが手掛けたオハイオのグループで、後にソロとなるラリー・ハンコックが在籍。オリジナル・アルバムは80年に出した1枚のみだが、70年代後半にエディやウォルターが制作した未発表曲もあり、この編集盤ではそれらがフィリー・グルーヴ原盤のシングルと合わせて聴ける。音も歌もオージェイズのフィリー流儀を受け継ぎ、ダンサーもスロウも極上。 *林