ニコラ・クルースを筆頭に伝統的フォルクローレとエレクトロニカの邂逅を推し進める南米スロウテクノ・シーンに“ヴィーナスの誕生”。ラテン語圏ではすでに注目を集めているアルゼンチンの女性トリオ、フェミナ。この2作目ではクアンティックが全面プロデュースを務めたことで飛躍的な洗練を遂げている。ミニマルなエレクトロやホーンの効果的な配置、音の棲み分けは流石。ジャケから連想されるスリッツのような、ある種のパンキッシュな要素もあるが、音楽の核となっているのは伝統に根差した三声の美しいハーモニーだ。ゲスト参加のイギー・ポップも出番少なめながらいい味を出している。