マルチ・インスルメンタリストというと、プリンスやジェイコブ・コリアなどのヴォーカリストを想像しがちである。しかし木管系のマルチにはなんでも吹いちゃうとんでもない演奏家がいる。そのひとりがこのクリス・ポッターである。もう一人挙げるとすればボブ・シェパードか。冒頭のギル・エヴァンス風のウインド・アンサンブルスタイルのアレンジも一人でダヴィンングしたものだ。しかし、このアルバムの聞きどころはそんな驚異のテクニックにくわえジェームス・フランシスとエリック・ハーランドによるリズムセクションの起用である、といいたい。マルチインストにマルチグルーヴ! というわけ。