何世代目かのブランフォード・マルサリス・カルテット。アルバムを構成する曲の選択に、これまでにはない気配を感じる。アンドリュー・ヒルとキース・ジャレットの曲を取り上げているという情報も確かに異色なものを感じさせる一因ではある。しかし取り上げた作品はA.ヒル作品の中ではいささか異色なものであり、キースの作品もキースとブランフォードの結びつきというより、オーネット・コールマンへの親和性を感じさせるという点では、こうした固有名がカルテットの新しさを漂わせているのではない。むしろメンバーやブランフォードの本人の楽曲に、カルテットの新しいアプローチを強く感じた。