INTERVIEW

コリン・カリー『ライブ・アット・フォンダシオン・ルイ・ヴィトン』 ライヒも信頼を寄せるパーカッション奏者による実況録音盤

©Linda Nylind

 

ライヒも信頼を寄せるコリン・カリーによる実況録音盤

 コリン・カリーは、これまでに名だたる作曲家の初演を行なうなど、世界的に評価されるパーカッション奏者である。コリン・カリー・グループは、彼が2006年に、英国の世界最大級のクラシック・ミュージックフェスティヴァル「BBCプロムス」でスティーヴ・ライヒの70歳を祝うイヴェントの企画を担当した際に、9人の打楽器奏者と2人の歌手、ピッコロ奏者による、ライヒの《ドラミング》(1971)を演奏するために、意欲的な卓越した演奏家を集めて結成されたアンサンブルである。

 2012年には、東京オペラシティコンサートホールで来日公演を行ない、《ドラミング》が演奏されている。2017年にもライヒの80歳を記念する公演が、前述の会場で行なわれ、そのどちらの公演でも冒頭には、ライヒとカリーのふたりによる《クラッピング・ミュージック》が演奏されていたのを記憶されている人もいるだろう。カリーはさらに自身のレーベル、コリン・カリー・レコーズを2018年に立ち上げ、その第1弾として、2012年の来日公演でも演奏されたライヒの代表作であり、ライヒ自身によっても「ベストの録音」と評し、カリーにとってもグループ結成のきっかけとなった《ドラミング》を、コリン・カリー・グループとシナジー・ヴォーカルズによる録音でリリースしている。

COLIN CURRIE,STEVE REICH コリン・カリー&スティーヴ・ライヒ~ライブ・アット・フォンダシオン・ルイ・ヴィトン Colin Currie Records(2019)

 そして、このたびリリースされたレーベル3作目は、パリのルイ・ヴィトン財団の美術館、フォンダシオン・ルイ・ヴィトンで行なわれた演奏会の録音である。それは、パリ市立近代美術館が所蔵する《ドラミング》の楽譜を展覧会で展示することになったのをきっかけとして、ライヒ本人の招聘と演奏会が行なわれたことによる。ライヒとカリーは、度重なる話し合いをへて3回のイヴェントを企画、古い作品、あまり演奏される機会のない作品、新しい作品を含んで選曲された。収録された楽曲は、《クラッピング・ミュージック》(1972)《プロヴァーブ》(1995)《マレット四重奏曲》(2009)《パルス》(2015)《木片のための音楽》(1973)である。特に《パルス》では、今回のヴァージョンでは、2018年にリリースされたノンサッチ版の録音と非常に異なったものになっていることを意識して、あえて対照的な作品としてアルバムに収めたという。

 もうひとつ、この作品ではライヴ・パフォーマンスの録音に注意が払われている。スタジオでの録音と演奏会場でのライヴ録音はまったく別物であり、その場の雰囲気が醸し出すエキサイティングな空気をミックスして完成させる作業が、制作チームによって実現されている。

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