USロック・シーンを代表するバンドのニュー・アルバム。ロスタム・バトマングリの脱退という変化はあったが、持ち前のアフロ・ポップを基調とする多彩な音楽性は健在だ。ダンサブルな“Sympathy”ではフラメンコを採り入れ、“My Mistake”はスクリューの匂いを漂わせたりと、カラフルな音色でリスナーを楽しませてくれる。ドナルド・トランプ以降のアメリカに対する怒りも窺える“Harmony Hall”といった、プロテスト色の濃い曲も際立つ。そこに込められた政治的/社会的要素は個人の視点から紡がれているため、親しみやすい。そうした視点でありながらジャケットに地球を用いる素朴さは、良くも悪くも〈世界の警察〉を演じてきたアメリカのバンドであることを滲ませる。