本気と冗談が混ざり合ったような奇想天外な室内楽アンサンブルを、時にほのぼのと、時に狂気を交えて演奏していく宇波拓率いるHOSE。2LPからなるこのベスト・アルバムは、今回新たにミックスを行い、未発表の3曲を含む計14曲を収録している。ファースト・アルバムは2007年のリリースなので、古い曲はもう12年の月日が流れているけれど、ノスタルジックなメロディや素朴な歌から、実験的な室内楽まで、捻りにひねった謎すぎる楽曲が時空を歪め、時間のカウントを無意味にしてしまう。音源に手を入れた効果に加え、高い演奏技術で楽曲を支えた名手たちのお陰もあり、2019年に聴いても鮮度は抜群なのだ。