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35年に及ぶスティングのソロ・ディスコグラフィーをおさらい

STING The Dream Of The Blue Turtles A&M(1985)

脱ポリスを明示した初作。自身はギターに持ち替えてダリル・ジョーンズとオマー・ハキムをリズム隊に迎え、ブランフォード・マルサリスらを迎えてフュージョンのヴァイブを導入。カリプソっぽい“Love Is The Seventh Wave”の軽やかな冒険心も光る。

 

STING ...Nothing Like The Sun A&M(1987)

ニール・ドーフスマンと共同制作した2作目。母の死や南米ツアーの経験が影を落とし、生命や愛を主題にして曲に深みを増す一方、ポップなCMソング“We'll Be Together”が全米7位を記録した。ハイラム・ブロックからマヌ・カチェまで参加プレイヤーも多彩に。

 

STING The Soul Cages A&M(1991)

今度は父の死を経験しての3作目。ポリス時代のプロデューサーでもあったヒュー・パジャムを招き、闇を抜けて光へ向かうような名曲“All This Time”などがヒットしている。現在に至るまでバンドのギタリストを務めるドミニク・ミラーもここから初参加。

 

STING Ten Summoner's Tales A&M(1993)

ヒュー・パジャム制作を継続しつつもドラムスがヴィニー・カリウタ、鍵盤がデヴィッド・サンシャスに替わり、肩の力を抜いて状態で臨んだからか現在も頻繁に披露される楽曲を多く含む一枚。哀愁のギターが光る“Shape Of My Heart”はドミニクとの共作だ。

 

STING Mercury Falling A&M(1996)

ソロ・デビュー10周年記念のベスト盤『Fields Of Gold』を間に挿んでの5作目。クワイアを従えたサザン・ソウル調の“Let Your Soul Be Your Pilot”や直球のカントリー“I'm So Happy I Can't Stop Crying”など、全体的に落ち着いた歌心を聴かせるマイルドな一枚に。

 

STING Brand New Day A&M(1999)

ゲイリー・ニューマンと仕事してきたキッパーをプロデューサーに抜擢し、全体的にポジティヴな活力を取り戻したような転機作。シェブ・マミの快唱が躍る“Desert Rose”やジェイムズ・テイラーを迎えた“Fill Her Up”などゲストの色を取り込む作りも新鮮だ。

 

STING ...All This Time A&M(2001)

訪れていたイタリアで〈9.11〉を知り、その当日の晩に行ったステージの模様を急遽収録したライヴ盤。“Fragile”をオープニングに披露し、ポリス時代も含む過去の名曲群をその時点の最新バンド・アレンジで聴かせていくという意味では『My Songs』にも近い。

 

STING Sacred Love A&M(2003)

引き続きキッパーを参謀にした7枚目のオリジナル作で、ダンス・ヒットした“Stolen Car(Take Me Dancing)”などシンセ主体のアーバン寄りなトラックが目立つ。グラミーに輝いたメアリーJ・ブライジとのデュエットのほか、アヌーシュカ・シャンカールらも客演。

 

STING Symphonicities Deutsche Grammophon(2010)

クラシックに傾倒して2006年の『Songs From The Labyrinth』から契約したドイツ・グラモフォン録音における3枚目。その間のポリス再結成ワールド・ツアーも作用したのか、バンド時代も含む〈マイ・ソングス〉をオーケストラ・アレンジで披露している。

 

STING The Last Ship Cherrytree/A&M(2013)

ロブ・マテスをプロデュースに迎えた10年ぶりの書き下ろしアルバムは、故郷ニューカッスルを舞台に造船業の衰退などを描いたミュージカルの楽曲集で、トラッドやシャンティも交えていつも以上に英国色が強め。AC/DCのブライアン・ジョンソンらが客演。

 

STING 57th & 9th A&M/ユニバーサル(2016)

13年ぶりの純然たるオリジナル作で、スタジオへ向かうバンドマンを気取ったジャケの通り、ドミニクやヴィニー、ライル・ワークマンら演奏メンバーとの共作が大半を占める。プリンスの訃報を受けて書いたという“50,000”など、大人のロックが並ぶ一枚だ。

 

STING,SHAGGY 44/876 Interscope/ユニバーサル(2018)

〈白いレガッタ〉から約40年、本場の大ヴェテランたるシャギーとタッグを組んだまさかの本格レゲエ・アルバム。モーガン・ヘリテイジとアイドニアを迎えた冒頭からシャギーの色が濃く染みだすも、シャープな円熟歌唱で自身の世界に引き込む支配力は流石。