諸井誠と共作した“七のヴァリエーション”がいち早く日本の電子音楽の歴史を切り拓いたことを思えば黛敏郎こそ偉大なる開拓者だろう。オペラ「金閣寺」でタッグを組んだ三島由紀夫との「理髪師の衒学的~」の再現を皮切りに、涅槃・曼荼羅にみられた仏教の音を取り込んだ“天の鐘”~“地の鐘”といったテープ音楽を収録。黛敏郎探求に相応しい珍盤が誕生した。これが珍盤たる所以はトラック後半に占められるボーナストラック〈黛敏郎セレクト・梵鐘テープ〉と“0系新幹線チャイム”。こだわり抜いた“0系新幹線~”再現含め、この選曲から醸し出される偉業/異形さは筆舌に尽くしがたい。