ゼロ年代前後、彼らの音楽は非常に柔らかい音像ながら、鮮烈なものとしてエレクトロニカ・リスナーを驚かせた。それから月日が流れ、今の耳では普遍的な音楽として聴こえてくる。今回の作品は20年に及ぶ活動から生み出されたメロディーをピアノで回想したというもの。52曲のメロディの数々がそっと寄り添う様に奏でられていく。サティの様な悪戯心や、ゴールドムンドの様なアンビエンスを感じるが、旋律にフォーカスして聴いてみて、改めて自由な発想で紡いでいたのが非常に心地よく感じる。いつ再生してもほのかな優しさを感じさせてくれる1枚。