COLUMN

デイヴ・リーブマン『On the Corner Live!』 ナッシュビルの精鋭たちとのマイルス讃歌

Dave Liebman@Jazz Standard, NYC 2017 ©Takehiko Tokiwa

 

デイヴ・リーブマンとナッシュビルの精鋭たちのマイルス讃歌

DAVE LIEBMAN On The Corner Live! : The Music of Miles Davis Featuring Jef Coffin, Victor Wooten, Chester Thompson, Chris Wlaters, James DaSilva Ear Up Records(2019)

 1972年にマイルス・デイヴィス(tp)がリリースした『On The Corner』は、マイルスがストリートのアフリカ系の若者へ放った野心作だ。当時圧倒的な支持を得ていたジェイムス・ブラウン(vo)、スライ・アンド・ファミリー・ストーンの音楽と、オーネット・コールマン(as,tp,vln)とイギリスの作曲家ポール・バックマスターのコンセプトを融合させ、ポリリズムのグルーヴの嵐の中を鮮烈なソロが駆け抜ける。

 その中核を担っていたのが、若き日のデイヴ・リーブマン(ts,ss,fl)。今やリヴィング・レジェンドとなったリーブマンが、2015年に多くのスタジオが立ち並び今やアメリカの音楽産業の一大拠点となったナッシュビルを訪れた。リーブマンの滞在時に、ナッシュビルを拠点に活躍するジェフ・コフィン(ts,ss,fl,cl)が、自らも参加するベラ・フレック&ザ・フレックストーンの同僚のヴィクター・ウッテン(el-b)、リーダー・グループのThe Mu'teからクリス・ウォルタース(key)、ローカル・シーンで活躍するジェイムス・ダシルヴァ(g)、そしてナッシュヴィルのレジェンド、チェスター・トンプソン(ds)を招集してリーブマンを迎えたマイルス・トリビュート・ギグが、このアルバムだ。

 オリジナルでもプレイされている 《On The Corner》、《Black Satin》、マイルス新時代の幕開けを告げた《In A Silent Way》から、カムバック期のエンディング・テーマだった《Jean Pierre》まで、エレクトリック・マイルスの主要ラインナップが並ぶ。ケオスに満ちたグルーヴのオリジナルだが、本作では明快でソリッドなグルーヴの上で、円熟したリーブマンが、マイルスの妖気を醸し出す。カムバック後のマイルスだったら、ウッテン&トンプソンのコンビに触手を伸ばしたかもしれない。43年の時を超えて、ナッシュビル・サウンドとマイルスのスピリットが、一つになる。

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