So Sorry,Hobo梶原笙の「聴きました」「読みました」「書きました」「そうですか」

第6回「むかしは満員だった電車」

 

5月16日

下北沢で髪を切った。ずっと大澤さんというシュッとしたお兄さんに切ってもらっていて、わざわざ散髪のために電車に乗るのは面倒だなと思ってもう5年とか、それぐらいになるだろうか。僕は一度自分のなかで習慣になってしまったものを変えることがとても苦手だ。
でも大澤さんに切ってもらって嫌な思いをしたことなんてないし、習慣だからというのが変えない理由のすべてではない。あんまり話をしないですいすい切ってくれるのが好ましい。
この日も「髪伸びましたねえ」「どこまで伸ばせばいいのやら」ぐらいしか会話はせず、パパッと済ませてくれた。ありがたいことだ。

全体の長さはそのままに(どこまでも伸びていけばいいと思っている)、顔のまわりだけすこしみじかくしてもらった。なんとなくオシャレだと思ったからだ。僕の辞書ではオシャレは「な」の欄に載っている。
実際見た目は望んだ通りになった(僕のルックスに関していいか悪いかの物差しを持ちだすのは、とても残酷な話だと思いませんか)のだけど、みじかくしてもらった部分がちらちらと顔面付近をちらついて邪魔くさい。もちろんこれは僕の想像力の欠如が招いた事態だ。26歳の人間が、こんな……。

話は変わるが、僕はこれを「逆BECK」と呼んでいる。
この動画ひとつで、音楽と関連しているということになりませんか?
そうですか。

 

5月17日

挫・人間の手伝いで新宿レッドクロスにいった。大槻ケンヂさんとのツーマンだった。
大槻さん、知ってる曲をたくさんやってくれて、勝手にうれしかった。
挫・人間といっしょに演奏しているとき、みんな楽しそうでよかった。
翌日もライブだったので、終わってすぐに解散した。

 

5月18日

連日の挫・人間の手伝いで吉祥寺シータにいった。武蔵野音楽祭という吉祥寺のライブハウスを跨いでおこなわれるサーキットフェスで、挫・人間はトップバッターだった。
朝10時に集合してリハを観ていたら下川のギターの高音がいつもよりも控えめな気がして、実は17日にもそう感じていたので2日続けてなら偶然ではないだろう、となったのでそのことについて聞いてみた。そうしたらアンプのセッティングを1メモリだけ変えていたらしく、気がついたことを気持ち悪がられた。
でもたぶんこれは僕の耳がいいとかそういうことではなくて(僕は音楽をやっている人のなかではかなり耳が悪いほうだと思う)、もうそういう些細な差に気がつくぐらい下川の音を聴いているということなんだろう。母親の料理の味の濃さに敏感になるようなものなのかもしれない。たしかにそれなら気持ち悪がられて当然という感じもする。まあ僕、気持ち悪いしな。

ライブのあとはメンバーとご飯を食べ、それから下川と二人でジュアンズのオオノと合流した。ジュアンズもその日武蔵野音楽祭に出演していた(別会場)。ちなみに僕がやっているSo Sorry,Hoboは一度もサーキットフェスの類に出演したことがない。うっす。見せもんじゃねえぞ。
僕は慕われるみたいな要素がまったくないので、年下で「梶原さん!」みたいなことを言ってくれるのはオオノぐらいのものだ。かわいがれるだけかわいがってあげたいと思う。
ジュアンズ最近調子いいよね、いやいや大変ですよ、みたいなことを喫茶店で話した。オオノ、21歳とかなのに僕よりも全然しっかりしている。浮ついた感じがない。偉い。
そのあと一旦家に帰っていた夏目も加わって、引き続きあれやこれやの話をしていた。家に帰ったら喋りすぎで喉が痛くなっていて笑った。

 

5月22日

バンドの練習だった。
翌日がライブだったのでその練習をした。
へなへなのハードロックみたいな曲をつくったのだけど、へなへなとはいえテンポがはやくて僕にとってはむずかしい。不安なので執拗に練習した。

帰ってからなぜかモリッシーが聴きたくなったので散歩しながら聴いた。

ときどきソロのほうがスミスより好きになるときがあるな(基本的にはスミスのほうが好き)。

 

5月23日

下北沢ガレージでライブだった。共演者のかたたちが全員年下で、「加齢……」と思った。
僕たちの演奏はいつもどおりによかった。新曲もとても評判がよくてうれしかった。
共演のエルモア・スコッティーズがラップスティールをつかっていたので「ネルス・クラインですか?」「いや、カーペンターズです」というちぐはぐな会話をするなどした。共通の知人がたくさんいるようだった。

この日思ったけど、僕って年下と話しているとそんなつもりはないのに「いやな年上感」が滲みでるな。先輩風って勝手に吹くものだったのか。
とくに打ちあげなどという感じではなく、岩井やPAの坪井ちゃんたちとお好み焼き屋にいって飲み食いをしてから帰った。

 

5月29日

バンドの練習だった。新曲のアイデアを出した。変なものがたくさんでて、爆発し、草原には風が吹き、我々はおだやかな背伸びののちにすこしだけやさしくなった。そうなんだ。
ここ最近つくる曲たちは、いままでのものとくらべるとすこしだけ僕が弾くギターのフレーズがむずかしい。とはいってもまあ「初心者でも余裕」から「初心者には手ごろ」に変わった程度なのだけど。それでも僕にはむずかしい。
そうなると練習をする必要がでてくる。が、練習、本当にやりたくない。こういう、こつこつと、なにかを、積みあげる、と、いうのが、ぜんぜん、できない……。貯金もないし。
でもやらなくては。応援求む。

帰りの電車でドゥームスクアッドの新譜を聴いた。かっけ~。

最近これ!というのはないけどなんらかの楽器を買いたい欲(そういうものが定期的に発生する人種というのがこの世にはいる)がひさしぶりに発生していて、いろいろデジマートやらヤフオクやらメルカリやらセカイモンやらをながめている。
最初はディレイでも適当に買おうかなと思っていたんだけど、だんだん気分が変わってきていまはちいさいシンセかカリンバがいいなという気持ちになっている。最初はシタールなんか買ったら面白いだろうなと思っていたけど演奏動画を観れば観るほどまったく弾ける気がしなくなってきたのでやめにした。

これはラヴィ・シャンカールにシタールを教わっているジョージ・ハリスン。

こっちはシエラレオネのカリンバ奏者とDJのユニット。めっちゃかっこいい。

シンセは遊ぶのに最適な楽器だし、カリンバは見た目も音もかわいい。どっちも買うのが一番ありそうで、もしかしたらまだ思い浮かんでいないものを買うかもしれない。まあ、こういうのは悩んでるときが一番楽しいな。

 

【プロフィール】
梶原笙

梶原笙 (かじわらしょう)

ロックバンド、So Sorry,Hobo(ソーソーリーホーボー)のギター・ヴォーカル。​バンドは「内在するファンタジーの再現」を目標にマイペースに活動中。話と文章と髪が長い。オタク。

40周年 プレイリスト
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