2019.06.11

石若駿は、いまもっとも多忙なドラマーの一人だ。92年生まれの石若は、10代の頃からプロとして活躍しつつ東京芸大の打楽器科でクラシックの打楽器を専攻し、現在ではジャズ、ポップス、クラシックの分野でもっとも信頼されているドラマーとして活躍。一方では作曲家、アレンジャーとして自作曲を発表する〈Songbook〉シリーズを発表するなど、質量ともに驚嘆すべき勢いで音楽活動を展開している。

6月5日にリリースされた、Shun Ishiwaka CLNUP4(シュン・イシワカ・クリーンナップ・カルテット)による『CLNUP4』は、石若の〈ジャズ・バンド〉としてのリーダー作としては『CLEANUP』(2015年)以来4年ぶりの作品。ギターの井上銘とベースの須川崇志とは10代の頃からの共演歴があり、91年生まれの井上とはCRCK/LCKS(クラックラックス)のバンドメイトでもある。この3人が、2016年6月にカート・ローゼンウィンケルと共演したことがきっかけで〈クリーンナップ・トリオ〉を結成、そこにトランペッター、ニラン・ダシカが加わって誕生したのが、このCLNUP4だ。

収録曲は、最後の“Mumbo Jumbo”(ポール・モチアン)を除いてすべて石若のオリジナル。輪郭のくっきりとした格調高く、それでいて親しみやすいメロディー・ラインは、石若の作曲家としての才能を改めて感じさせるものだ。演奏は典型的な〈現代のモダン・ジャズ最前線〉というべきもので、スケールが大きく伸びやかなダシカのトランペットは、イギリスで活動したカナダ生まれのトランペッター、ケニー・ホイーラー(1930〜2014)を想起させる。卓越したトランペッター=作曲家としての才能のわりに、生前はアンダーレイティッドな存在だったホイーラーだが、近年彼の影響を感じさせるトランペッターが増えているのは興味深い。井上のギターは明らかに〈カート・ローゼンウィンケル以降〉のスタイルによるもので、ロックやフリー・ミュージックの影もちらつかせつつ、柔軟なアプローチでサウンドに彩りを与えている。ウッド・ベースを使いつつも、伝統的なジャズ・ベースの枠をさりげなく超える須川のプレイがバンドのボトムを支え、リーダー・石若は圧倒的な技術とグルーヴ感で音楽全体をドライヴさせている。

世界的に見ても、このカルテットの音楽は最高水準に達しているはずだ。多忙な4人だが、ぜひともライヴの機会を増やしてオーディエンスをノックアウトし続けてほしい。

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