ピアニスト・指揮者の渡邉康雄さん(1949年生まれ)は八村義夫さんの怪作 《錯乱の論理》(改訂版)の初演ソリストとして日本音楽史に名を留める存在。2017年にも同作品を演奏、激しい打鍵で聴衆を唸らせました。本年めでたく古希を迎えた渡邉さんがリリースするのは2019年3月にオーケストラ・アンサンブル金沢との共演でベートーヴェンのピアノ協奏曲2曲を弾き振りしたライヴ録音。若々しく闊達な音楽運びによる《皇帝》が絶品で心洗われます。2019年が父君・渡邉暁雄さんの生誕100年、そして2020年はベートーヴェン生誕250年というタイミングにふさわしい好アルバムです。