『下妻物語』『嫌われ松子の一生』『告白』など、監督・中島哲也の映画の登場人物はいつだって“薄っぺらい”。そのことをして、中島哲也作品を“薄っぺらい”映画だと断じる向きもあるが、ではこう問うてみたい。そう断じるあなたは “薄っぺらい”人間でないと言えるのかと。中島哲也はいつだって “薄っぺらい”私たちをギリギリのところで肯定してきたように思う。第22回日本ホラー小説大賞を受賞した澤村伊智『ぼぎわんが、来る』を映画化した本作は、柴田理恵が最高にかっこいい映画であると同時に、“薄っぺらい”自己を自覚する者だけが生き残る物語として見ることもできるだろう。