2013年の『sakanaction』以来6年ぶりとなるフル作は、〈35 38 52 9000/139 41 39 3000〉と題されたディスク1と〈43 03 18 9000 /141 19 17 5000〉と題されたディスク2の2枚組。これらは東京でのスタジオと札幌時代のスタジオの緯度経度、そしてアルバム・タイトルはその距離を表していると言われているが、だからこそ〈故郷で培ったもの〉と、そこから〈東京で得たもの、あるいは失ったもの〉がトータルで表現されているように思える。一見華やかだけど、ちょっと窮屈ですぐに擦れてしまいがちなディスク1の東京。東京よりはのびのびできるけど、どこかもの静かで刺激の少ないディスク2の札幌。どっちの自分が本当の自分なんだろうか。でも、どちらにも良いところはあって、やなところもあって、少し寂しくて、切ない。