フレッシュな演奏で2つのコンチェルトを愉しむ

 若手演奏家をソリストに迎え、名曲として親しまれている作品でそのみずみずしい演奏を愉しむ〈フレッシュ名曲コンサート〉。今回は「煌く2つのコンチェルト、スペクタクルなオーケストラ」と題し、メインにチャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲と、ラヴェルのピアノ協奏曲が登場する。

 チャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲ニ長調は、ベートーヴェン、メンデルスゾーン、ブラームス、シベリウスなどのヴァイオリン協奏曲とともに人気の高い作品。1877年にチャイコフスキーが不幸な結婚の後、傷心をいやすためにスイス、イタリアを訪れたが、その翌年の3月、スイスのレマン湖畔のクラレンスに滞在した折にわずか1カ月足らずで書き上げたといわれている。それゆえ作品には甘美、哀愁、のびやかさ、力強さ、新鮮さなど多彩な表情が盛り込まれ、複雑な独奏パートが特徴である。聴き終わると、メロディメーカーであるチャイコフスキーの美しく印象的なヴァイオリンの旋律と、ロシアの大地を思わせるオーケストラの壮大な響きの融合が心に強く残る。

 一方、ラヴェルのピアノ協奏曲ト長調は、1927年から翌年にかけてアメリカへの演奏旅行を計画し、ラヴェル自身がソリストを務める意図で作曲された作品である。しかし、健康上の理由からそのアメリカ旅行は実現せず、パリで親しい友人のマルグリット・ロンのピアノ、ラヴェル指揮によるラムルー管弦楽団の演奏で初演されている。このコンチェルトは鮮烈で斬新で独創的。ジャジーな要素やスペイン趣味、東洋趣味が混在し、ラヴェルの機知に富む曲想に心が高揚する。

 ソリストは、2017年に東京音楽コンクール、18年に日本音楽コンクールというふたつのコンクールで第1位に輝き、いまもっとも勢いのあるヴァイオリニストとして熱い視線を浴びている荒井里桜がチャイコフスキーを担当し、ラヴェルは17年に高校2年で日本音楽コンクール第1位を獲得した、大きな未来を感じさせる吉見友貴が演奏する。

 共演は、飯森範親指揮 東京交響楽団で、若き才能をバックアップ。オーケストラの演奏では、冒頭にチャイコフスキーの広く親しまれている歌劇『エフゲニー・オネーギン』より《ポロネーズ》を演奏してチャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲へとつなげる。さらに、最後にR.シュトラウスの交響詩《ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら》を演奏し、「古いならず者の説話に基づくロンド形式による大オーケストラのための」という副題が付された曲をユーモアやウイットを醸し出しながらスケール大きな演奏で披露する。まさに名曲に胸が躍るひとときとなりそうだ。

 


LIVE INFORMATION

〈フレッシュ名曲コンサート〉煌く2つのコンチェルト、スペクタクルなオーケストラ
○11/9(土)15:00開演
会場:めぐろパーシモンホール 大ホール
【出演】飯森範親(指揮)荒井里桜(vn)吉見友貴(p)東京交響楽団
【曲目】チャイコフスキー:歌劇『エフゲニー・オネーギン』より ポロネーズ/ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 Op.35/ラヴェル:ピアノ協奏曲 ト長調/R.シュトラウス:交響詩 ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら Op.28
*公演当日14:30から、大ホールホワイエで東京交響楽団の楽団員によるミニ・コンサートを開催
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