2016年作『トコワカノクニ』ではすべての音を自身の声で構築するなど、みずからの職能を活かした独創的な作品作りに挑んできた声優の4年ぶりとなるフル・アルバムは、彼女がさまざまな作品を通じて磨いてきた〈声による表現〉の幅広さをプレゼンするような内容に。そのため曲調もあえて統一感を持たせず、ヒロイン感を強調する流麗アーバン・ポップから艶やかな和ロックまで実に多彩。緊迫感と勇壮さに満ちた歌劇風のエレポップ“死線上の華”は「幼女戦記」、謎ワードと変キャラが飛び交うポルカ調コミック・ソング“バナナチョモランマの乱(無修正版)”なら「アホガール」といったように、これまで彼女が演じた作品のキャラが何となく浮かぶのもおもしろい。まさに〈ボイスサンプル〉な一枚だ。