いまやアリーナ公演も即ソールドアウトさせる彼らの4枚目のフル・アルバムは、バンドの新たな挑戦とリアリティーが詰め込まれた作品だ。心情を赤裸々に吐露する恋の歌や、触れれば切れそうに尖ったサウンドを備えた彼らの十八番とも言えるナンバーは、今回も“浮気のとなりで”“愛の毒”などで聴ける。そこに先のEPでも見せたフォーキーなアプローチや、華美なストリングスを備えた“化粧”、いまも彼らが住む新潟は上越市での追想を軽いリズムと穏やかなギターに乗せて語る“ホームタウン”など、表現の領域がグッと広がったことで普遍性も高まっている。そして精悍さと色気を増した椎木知仁の声が、人生の無常や愛する人への想いを、どこかほろ苦さも込めて歌う様が胸を打つのだ。