深夜のフィーリングを彩るピカール・ブラザーズにも注目!

 ジェフ・バスカーやエミール・ヘイニーといった現行シーンきっての匠をガッチリ曲ごとに迎えて臨んだ前作『Uptown Special』から一転、今回の『Late Night Feelings』でその役割を担っているのは、“Nothing Breaks Like A Heart”や“Don't Leave Me Lonely”といった先行シングルも含む7曲にクレジットされているピカール・ブラザーズということになるだろうか。そうでなくても名前が目に付くようになってきていた彼らはマキシムとクレモンから成るパリ出身の兄弟ユニットで、シルク・シティの制作時にマークと出会っている。

 もともと2000年代末から自国のラップ作品に関わり、HKコープなどいくつかの名義を用いつつエレクトロやレゲエなど多様なフィールドに顔を出していた2人。その名が知られるようになったのはディプロに抜擢されてセヴン・ストリーター“It Won't Stop”(2013年)やジェシーJの“Sweet Talker”(2014年)を共同プロデュースしたあたりからだ。以降は単独でもクロニックスやケラーニ、ヘイ・ヴァイオレット、ルディメンタルらのプロデュースを手掛け、ベックやロビンのリミックスも担当。ディプロとの共同プロデュースでは一連のメジャー・レイザー曲やウィズキッド、ワレイ、リル・ザン、ニッキー・ジャム、MHDらの幅広い楽曲に関与してきた。マドンナの新作でも“Future”のソングライターに名を連ねていたが、『Late Night Feelings』の成果を受けて今後はマークとの絡みも増えていくことだろう。