INTERVIEW

BiSH『CARROTS and STiCKS』 6人の多面性を見せつけた最凶最悪最高最幸の超大作を語る!

BiSH『CARROTS and STiCKS』 6人の多面性を見せつけた最凶最悪最高最幸の超大作を語る!

And Yet It Moves! 6人の集大成を示す最凶最悪最高最幸のニュー・アルバム『CARROTS and STiCKS』は、パブリック・イメージを超えてその先へと進む!

 4月1日の情報解禁から始まり、凶悪さを強調した4月の『STiCKS』、キャッチーさを追求した5月の『CARROTS』という各4曲入りの配信EPで己の備えた二面性を表現しつつ、全国14か所21公演を回る全国ツアー〈LiFE is COMEDY TOUR〉で新曲を段階的に披露……と、3か月に渡って〈#BiSHアメトムチ〉プロジェクトを推進し、あらかじめ告知された7月3日のニュー・アルバム『CARROTS and STiCKS』へと向かってきたBiSH。その過程では『BiSH CARROTS and STiCKS??』なる299円の廉価盤を先行リリースしたかと思えば、その中身がbeat mints boyz(サウンド・プロデューサーの松隈ケンタとWACK代表の渡辺淳之介によるコンビ)の歌うフェイク音源だったり、人を食ったような企ても巧みに織り交ぜながら本丸への期待を最大限に盛り上げてきました。そうしてついに完成を見た『CARROTS and STiCKS』は、先行EP曲も含む全14曲入り。賑やかな話題もプロモーションもすべて作品の出来あってこそですが、アルバムはそんな前提を余裕で上回る圧倒的な内容になっています。

BiSH CARROTS and STiCKS avex trax(2019)

 

EPとツアーを振り返って

——今回はEPでアルバムの内容を明かしながらツアーを連動させていく試みでしたけど、4月に始まったその〈LiFE is COMEDY TOUR〉自体もいつもと違う趣向になっていますね。

セントチヒロ・チッチ「コントでスタートするライヴは初めてで、コントってやっぱり笑いを届けるものなんで。ライヴの中で一瞬でも笑顔を提供できるツアーになったらいいね、みたいな。〈笑顔〉っていう共通のワードは私たちの中にあります」

ハシヤスメ・アツコ「はい。昨年末に幕張メッセでライヴさせていただいた際に、社長の渡辺さんにソロ・デビューを直談判してOKを貰えたので、今回は私のソロ曲の振付けをツアー中に完成させようっていう流れで、各地を回りながら振付けが少しずつ出来ていってるところです。ファイナルで完成すればいいなっていう感じで作ってはいます」

——ツアー初日を拝見しましたが、ライヴ本編が始まる前にハシヤスメさんがメインになって回す時間が長いですね。

アツコ「ソロ曲の披露も含めて、だいたい20分ぐらいかな。プレッシャーがあります」

——でも、ソロも〈あ、ホントにあるんだな〉って嬉しかったですね。

アツコ「ンフフフ。そうですね。ツアーで全国にハシヤスメのソロ曲を撒き散らしていってて、けっこう中毒性があり、お客さんも自然と口ずさんでるようなので、皆さんの〈聴きたい〉っていう声が多数であれば、何かの形で出るんじゃないかな?って思います」

——楽しみにしています。で、そうやってコント始まりなので名前通りにコメディー感の強いツアーかと思ったら、特に『STiCKS』の楽曲に関してはパフォーマンスも尖った表現でやられていたり、いままでと違う見せ方もあって。ツアー中に曲が増えていくという経験はどんなものでしたか?

アイナ・ジ・エンド「歌を練習して、振り落としして、みんなと練習して……もう、こんな大変なの初めてっていうぐらい、シンプルに覚えることが多かったです。あと、EPは両方とも色が全然違うので、心構え的に『STiCKS』の曲は自分の中にある反骨精神だったり、闇の部分とかも引っ括めて表現に昇華してたんですけど、そこから明るいほうの『CARROTS』になると心の変化が激しくて、コントロールするのが大変だったりしました」

——やってない表現みたいなものもあって。

アイナ「そうですね、“FREEZE DRY THE PASTS”では椅子を使ってみたり、照明さんとの照らし合わせとかをしっかりゲネプロからやることもあまりないから、そういうのも初めての経験でした」

——ツアーの初日で『STiCKS』の4曲を初披露された際、お客さんもショッキングで静まり返ったというか、〈怖い……〉みたいな(笑)。

チッチ「アハハ」

リンリン「“FREEZE DRY THE PASTS”のああいう見せ方とかは初めてだったので、最初に振りを撮って見直した時に〈これ、ライヴでやってカッコ良くなるかな?〉って不安だったんですけど、衣裳を着て照明が当たってやったら、そこでやっと完成された感じがして。だから初日は、曲が終わって拍手がきた時に〈ああ、良かった~〉って安心しました」

アイナ「“FREEZE DRY THE PASTS”はリンリンにメインで踊ってほしかったので、リンリンがいちばん表現しやすい内容として振付けの原点は〈共依存〉をテーマにしたんですけど、私の中ではポジティヴに〈死なないでほしい〉みたいなメッセージを表現したかったんです。例えばライヴのMCとかで〈生きろ!〉とか命令形で言われても〈じゃあ、どうやって生きたらいいんだ?〉ってたまに思ってしまうことがあるので、“FREEZE DRY THE PASTS”では〈落ちるところまで落ちたら人はこうなるんだよ〉とか〈ほら、生きてるほうがマシでしょ?〉って伝えたくて」

——逆に言うみたいな。

アイナ「はい。〈あ、死んだらいまより怖いところに行っちゃうのかな? じゃあ生きなきゃ〉って。だから〈怖い〉っていう反応は、手応えがあって嬉しいです(笑)」

——『STiCKS』でいうと、“優しいPAiN”のくたびれたパフォーマンスに妙な不安というか気味の悪さを感じました。

アイナ「うん、気持ち悪い、むずがゆいというか(笑)」

——一方、5月からは『CARROTS』の曲を披露されてきて、こちらはどうですか?

アイナ「お客さん的にライヴでは手を上げれたりするほうが楽しいのかな?って改めて気付かせてもらえたし、やっぱ盛り上がってくれますね。モモカンが作詞した“まだ途中”はモモカンが曲前にMCしてから始めたりするんですけど、そのMCが凄い良くて曲がもっと入ってくるし、ライヴでやると曲が呼吸してるような感じがして、いいなって思います」

——モモコさんは“まだ途中”をどういうイメージで作詞されたんでしょう。

モモコグミカンパニー「これはまっすぐ生きてる人、生きようと思ってる人への応援歌として書いて。普通に自分のやりたいことを貫くのが難しい人が多いんじゃないかな?って思って。周りの評価を気にしてしまったりとか、地道に一人でがんばるのって凄い孤独だけど、絶対に見てくれる人はいるから諦めないでほしいってメッセージを込めました」

——勝手な感想ですけど、モモコさんの詞はあまのじゃくな感じが薄れたというか、言葉が遠回りしなくなった気がします。

モモコ「ああ、たぶん『CARROTS』の曲だからというのもあるんですけど、“まだ途中”は曲調がホントにまっすぐで、明るくなる歌詞を書きたいと思ったのもあって、着飾るような言葉をあんまり入れないで、素直に書きました」

——ちなみに、歌詞を書いたり歌を録ったりしてる時点で、EP用とアルバム用の振り分けとかは決まってたんですか?

チッチ「『STiCKS』に入る曲はわりと最初から決まってて、『CARROTS』とアルバム曲は決まってないのが多かったです」

——そうなんですね。で、アルバムに向けてbeat mints boyzのフェイク盤『BiSH CARROTS and STiCKS??』もありましたが、こちらは聴いていかがでしたか?

チッチ「歌う人が違うだけで全然違う曲みたいだなって」

アツコ「歌い方とかの違いはあるんですけど、歌詞だったりメロディーは一緒なので、何か考えさせられました。BiSHで歌うヴァージョンと、あのお二方のヴァージョン……」

——BiSHのほうが良かった?

アツコ「ウフフ。ん~、〈はい〉と言いたいですけど」

アイナ「え?」

アツコ「言っていいんですかね? はい、はい(笑)。良かったです。でも、“アイデンティティ”とかサビを2人で歌ってて、〈こういうのもアリだな〉〈男声で歌ってるのもいいな〉って思いましたね」

——そういう聴き比べも含めて、良い遊びだと思います。

チッチ「良い着火剤(笑)。これきっかけで興味を持ってもらえたり、アルバムへの期待を高めてくれたなら良かったなって」

 

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