自分のやりたいこととはなんだろう。幼い頃、ひたすらオーデションを受けながら考えた。自分が本当にやりたいことがわからなかった。オーデションを受ける周りの子と熱量が明らかに違った。熱量を窺う審査員からの質問に、なんとでもアツく答えられたはずだが、嘘がつけなかった。それからと言うものの、いろいろなことにチャレンジしてみてはあっけなく終わっていった。いまとなっては養ってきたことが自分の確かな力になっていると思うが、その頃は正しい道を歩めてきたのかさえわからなかった。いまでもわからないことは多い。あの頃ひたすらに〈しっかりしないと〉と思ってきたが、いまとなっては〈背伸びをしないで、もっと16歳らしく〉と言われる。この1年、本当に〈らしく〉という言葉に悩まされてきた。〈らしく〉ってなんだ。この、背伸びをしていながらも未完成な自分は、自分らしくないのか。考えれば考えるほどらしくなくなっていく。本末転倒だ。

 そして歌を歌いはじめてから自分が自分らしくあれる曲を探していたところそれはバンドが作り出す〈ロック〉だとはっきりわかった。自分でバンドを組むなら、と頭の中で架空のロック・バンドを結成して楽曲を作ってみるも、いざ自分がソロで歌うとなった時に〈この曲は私が歌っても意味がない〉となってしまうものばかり。私にはロックが歌えないのかと肩を落とした。それからいろいろ考え込み、終いには曲が思うように作れなくなった。その頃ちょうど下北沢で行われた〈SOUND CRUISING〉でメメタァさんを観た。その時なにか自分の中で頭を悩ますものすべてが取っ払われたような気がした。

 今回ご紹介する曲はメメタァさんの“ロックンロール”です。ライヴが進んでいくにつれ、ライヴハウスの中で起こるグルーヴが増していき、この“ロックンロール”のサビでは思わず拳をあげている自分がいました。私は、それまでライヴを観る時はひたすら聴き入り、そこで繰り広げられる音楽で自然と身体が動いてしまうことは少なかったのですが、そんな自分を変えられた、言葉に言い表せない力を持った曲だなと感じます。この曲はぜひライヴで聴いてほしい。上手く歌えなくたって、私の取り繕ったキャラクターには似合わなくたって、ロックができなくたってなんだっていい。私はロックが好きだ。“ロックンロール”は僕を幸せにするのだ。

“ロックンロール”は収録されていませんが……メメタァの2017年作『TO BE CONTINUED...』(HAMON)

 


原田珠々華(はらだすずか)
2002年生まれ、神奈川出身。ファースト・ミニ・アルバム『はじめての青』(TOWER RECORDS)が好評リリース中。この6月24日で17歳になりました! 7月26日に六本木ヒルズアリーナで開催される〈六本木アイドルフェスティバル2019〉に出演が決定し、8月には〈TOKYO IDOL FESTIVAL〉も控えています。以降の詳細は〈haradasuzuka.com〉にて!
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