Mikiki編集部のスタッフ4名が〈トキめいた邦楽ソング〉をレコメンドする週刊連載、〈Mikikiの歌謡日!〉。更新は毎週火曜(歌謡)日、新着楽曲を軸に私的マイブームな音楽を紹介していきますので、毎週チェックしてもらえると思いがけない出会いがあるかもしれません。紹介した楽曲はSpotifyとYouTubeのプレイリストにまとめて公開しているので、併せてお楽しみください! *Mikiki編集部

★〈Mikikiの歌謡日!〉記事一覧

Spotifyのプレイリスト
 
YouTubeのプレイリスト

 


【田中亮太】

Morningwhim “Most Of the Sun Shines”

昨日Luby Sparksとのメール対談記事を紹介した台湾のドリーム・ポップ・バンド、I Mean Us。彼らの来日公演・東京編でオープニング・アクトを務める4人組バンドが、彼女たちです。微熱なシンセサイザーの音色、穏やかながらもを芯の強さを感じさせる凛としたサウンド、すごくキュート……だけど誰のものにもならないであろう声。ヴェロニカ・フォールズの故パトリック・ドイルも草葉の陰で感涙してそうなトゥイー・ポップの完璧な名曲。昨日から50回は聴いています。Homecomingsを初めて聴いたときくらいビックリしたかも。

 

odd eyes『REFLECTION PORTRAIT』


京都のハードコア・パンク・バンドが2018年に出した傑作『SELF PORTRAIT』のリミックス盤が到着。BLEED BOI、Madeggとしても知られるKazumichi Komatsu、荒井優作、Takaoという気鋭の4組が参加しています。

刺々しくインダストリアルなBLEED BOI、穏やかなニューエイジに仕上げたKazumichi Komatsu、ストレンジなプロダクションを組みつつもリリカルな緊張感を崩さない荒井優作と、いずれもナイスワークですが、特にフレッシュだったのはTakaoによる“A One and a Two”のリミックス。弦楽器や鍵盤打楽器が織りなす室内楽的なアンサンブルにカベヤシュウトの豪胆たるシャウト・ヴォーカルを重ね、チェンバー・ポップ×ハードコアな新味に仕上がっています。アルバムまるごと買っても800円なので、迷わずBUYしましょう。

 

Eupholks “The Clouds”

男女混成バンドのハーモニーとアンサンブルに趣向を凝らしたポップ。メンバーの出自はパンクらしく、確かにポスト・ハードコア的な雰囲気も。リリースは2018年の10月ですが、最近ハマっています。今月中旬に新しい音源を出すみたいで楽しみ。

 

【高見香那】

ズーカラデル “イエス”

来週7月10日(水)リリース、セルフ・タイトルのファースト・フル・アルバムより。〈号泣しながら書いた〉歌詞だとツイッターにあったので作者にとって思い入れの強い曲なのかもですが、そういった自意識を感じさせない普遍的でロマンティックな名曲に仕上がってますね。エモすぎないというか。そこがすばらしい。

 

【酒井優考】

日食なつこ “white frost”

先々週、洋楽連載〈Pop Style Now〉で編集部の田中さん・天野さんが今年上半期の洋楽ベスト・ソング10をやっていたので、7月に入ったことだし、今回は個人的に上半期の邦楽ベスト・ソングと思うものをいくつか挙げてみたいと思います。この曲はご本人いわく、〈前半はシンプルな打ち込みで、無機的な街で精神をすり減らしながら生きている人を描き〉、〈後半は弦とティンパニで、その人が本当に立ち返るべき魂のある場所で、羽根を広げる瞬間を描き〉、〈そのギャップを出したかった〉とのこと(公式サイトより抜粋)。そういう作者の工夫を知って聴くもよし、知らずに聴くもよし。でも、有名な絵画には必ず解説文があるように、音楽にもどこかにそういう工夫の裏側が載ってるといいなとも思います。歌詞もメロディーも演奏も映像も、とにかくすべてが美しいです。

 

King Gnu “白日”

この曲もひたすらに美しい(あんな下品なことばっかり言ってる人からどうしてこんな美しい歌声が出るのか・笑)。相変わらず、2019年はKing Gnuの年になると思ってます。

 

赤い公園 “Highway Cabriolet”

先日赤い公園の歌川さんに〈いつも記事読んでるよ〉と言われてしまったのでもう下手なこと書けないんですが……構成や各パートの演奏は彼女たちにしてはシンプルだけど、それはメロディーと石野さんの歌唱力を際立たせるためだと思います。でも2018年にまだ赤い公園が3人だった頃、2回だけ披露された歌川さんメイン歌唱ヴァージョンも良かったよ! 忘れてないからね!

 

パスピエ “グラフィティー”

たぶん元にはごくごくシンプルな曲があって、そこからこの複雑な構造に至るまでにはたくさんの足し引きがあったんだろうなあと思って、その過程を勝手に想像してはため息が出ます。

 

ペンギンラッシュ “アンリベール”

音楽の好き度や良さに順位なんてないんだけど、この上半期はペンギンラッシュがとても印象に残っているので、彼女たちを優勝にします(他のアーティストは知名度もあるし)。でも、なんで印象に残ってるんだろうな。先日、有線から聴こえた時も耳をそばだてちゃったし。ここまでの4曲と同様に、美しさと、美しいものを作るための並々ならぬ工夫が感じられるからかもしれないです。これから、もっともっとグングン来ると思ってます。

 

【天野龍太郎】

ウワノソラ “蝶の刺青”

6月26日にリリースされたウワノソラのアルバム『夜霧』より。どこまでもエレガントで、ロマンティック。こんなことを言ってしまったらそれまでなのですが、言葉にならない、息をのむ美しさです。ぜひ“隕石のラブソング”も聴いてみてください。

 

1983 “Swim”

5月にリリースされた1983の新作『渚にきこえて(Passes on the Other Ocean)』から。“Tripping Out”~“あまく危険な香り”をよりダンサブルにしたリズム/ビートと、シティ・ポップへの憧れを素直に形にした心地よいハーモニー。作曲は、バンドのギタリスト/ヴォーカリストである関信洋さん。

 

マーライオン “シャッターチャンスを君にあげるよ”

1月にリリースされたマーライオンのシングル。池田若菜ちゃん(THE RATEL)のフルートと石川浩輝さんの優しいキーボードの音色が、この短い曲にドラマをもたらしています。そして、弾き語りの『ばらアイス』(2018年)を経て深みを増したマーライオンの歌が、なんとも感動的です。Spotifyなどで配信中。

 

パブリック娘。『アクアノート・ホリデイ』全曲視聴ティーザー

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