20世紀を代表する劇作家・小説家、サミュエル・ベケットの小説三部作(「モロイ」「マロウンは死ぬ」「名づけえぬもの」)が宇野邦一の個人訳によってついに刊行される。その第一弾は、ベケットの小説の中でも何度か翻訳されている「モロイ」であるが、今回の翻訳は決定版ともいえるものだ。宇野は今までに「伴侶」「見ちがい言いちがい」などのベケット作品の翻訳やドゥルーズのベケット論「消尽したもの」などを翻訳しており、宇野訳のベケットを愛読していた読者も多い。今後、出版される「マロウンは死ぬ」、とりわけあの「名づけえぬもの」がどのように宇野によって翻訳されるか楽しみだ。