NO MUSIC, NO LIFE.
「音は世につれ、世は音につれ。」——タワレコの40周年を祝って洋楽名曲選が登場しました!

 音楽の聴き方、聴かれ方が多様化して……というみんな大好き(?)な話はさておき、他人のリスニング生活や商売の在り方にやたら注文をつけたい人はともかくとして、広い意味でのポップ・ミュージックが常に新しいリスナーに向けてよりライトに開かれるようになった状況そのものは変わっていません。しかも時代が何十年も積み重なってさまざまなブームやリヴァイヴァルが繰り返された効果もあって、いつ生まれた楽曲であろうと新しい受け手にとっては常にフレッシュなものとして接することのできるムードも顕在化してきたように思います。

VARIOUS ARTISTS NO MUSIC, NO LIFE. TOWER RECORDS 40th ANNIVERSARY ソニー(2019)

 そんなわけで、タワーレコードが日本進出してから40年という節目を記念して今回コンパイルされたのが『NO MUSIC, NO LIFE. TOWER RECORDS 40th ANNIVERSARY』です。ここではタワーレコードのバイヤーが時代やジャンルを超えて愛される珠玉の40曲をセレクト。対象年代はその40年間だけにとどまらず、米国でタワーレコードが創立された1960年以降——具体的には、エルヴィス・プレスリー“Can't Help Falling In Love”(61年)からサム・スミス“Stay With Me”(2013年)まで実に50年以上にも及ぶ振り幅で選曲されています。

 とはいえ、それが各世代のリアルタイムな懐かしさに訴えかける一面的なチョイスでないことは、例えば件のエルヴィスの名曲を、80年代にコリー・ハートが、90年代にUB40が、2000年にHi-STANDARDが各々ヒットさせていることからも明らか。もうひとつ例を挙げるなら、ロイ・オービソン“Oh, Pretty Woman”(64年)は当時も全米No.1ヒットを記録したのち、82年にヴァン・ヘイレン版で再脚光を浴び、オリジナルも90年に映画の主題歌としてリヴァイヴァルして以降はCMやTV番組などで多用され、幅広い層に親しみがあるはず。そのように世代を問わず馴染みがあったり、耳新しかったりする40曲がCD2枚組に満載されているというわけです。

 詳細に触れるには紙幅が足りませんが、中身はディランやアレサ、スライ、S&G、ミニー、ボズ、EW&F、マーヴィン、TOTO、スタカン、レニー、ホイットニー、マライア、オアシス、BSB、アリシア、エイミーら略しても通じる面々の名曲ばかり。このメモリアルな2枚組が、過去の思い出を呼び起こすだけでなく、あなたの新しい思い出と共にありますように。