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本道も絶好調なジェイク・ワン

 もともとはいわゆる〈西海岸アンダーグラウンド〉のシーンを地盤としてきたシアトル出身のプロデューサー。地下の名門ライムセイヤーズから初のリーダー作『White Van Music』(2008年)を出す一方、Gユニットにトラックを採用されたあたりからメインストリームにも顔を出すようになり、現在はエリアを問わず多種多様なラッパーたちのプロデュースを担当しているヴェテランだ(今回『Tuxedo III』に招いたMFドゥームともバトルキャットとも仕事歴がある)。近年だけでもニプシー・ハッスルの『Victory Lap』で3曲を手掛けたほか、バディやジェイ・ロック、ウィズ・カリファ、フューチャー、ウィークエンド、21サヴェージら大物クライアントの名前がズラリと並ぶ。そうした場でタキシード寄りの作風を見せることは多くないが、だからこそタキシードにおいて濃密な遊び心が発揮されるのかもしれない。 *狛犬

 

デュオの声を担うメイヤー・ホーソーン

 もともとはデトロイト周辺のDJで、ある種のフェイクな味わいも込みで歌った初作『A Strange Arrangement』(2009年)が評価され、歌い手として認知されるようになったメイヤー・ホーソーン。3作目『Where Does This Door Go』でジェイク・ワンと合体して2015年にタキシードを結成して以降は、フォロワーのクール・アンクル(ボビー・コールドウェル×ジャック・スプラッシュ)やベニー・シングスら趣味の重なる洒落者たちとも積極的にコラボ。現時点での最新ソロ『Man About Town』(2016年)ではAOR寄りの部分も強まっていて、タキシードでの試みとはあえて別の方角をめざしているのかもしれない。なお、『Tuxedo III』に先んじた共演曲“Not Enough”を含むベニーのソロ作『City Melody』は、USでは『City Pop』の名でストーンズ・スロウから登場した。 *狛犬