没後5年を迎えた天才指揮者ロリン・マゼール(1930-2014)が読売日本交響楽団と共演したライヴ録音が初発売されました。第1楽章から各パートの鳴りは身を切り裂く鋭利さ、緩急も変幻自在。ほんの一瞬まで色付けし、がっちり組み立てた強靭な音楽です。そしてフィナーレはマゼールの棒捌きによる表現能力が冴え渡り、スコアから飛び出した陰陽光陰が稜々と響きます。読響は総力戦で応え、とりわけ管打楽器の弾け具合が聴き手の胸を震わせます。商用マイクを入れていない演奏会で発揮されたマゼールの破格のポテンシャルが分かる音源です。1987年5月9日、東京文化会館での収録。臨場感満点の音質です。