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【久保憲司の音楽ライターもうやめます】第6回 僕たちは「ストレンジャー・シングス 未知の世界」と人生を歩むのでしょう

Netflix時代のロック・ファン悲喜こもごも

Netflixオリジナルシリーズ「ストレンジャー・シングス 未知の世界」シーズン1~3独占配信中
 

「ストレンジャー・シングス 未知の世界」シーズン3の基本は、50年代の名作SF「ボディ・スナッチャー/恐怖の街」(56年)です。この映画は時代毎にリメイクされているんですが、元々は共産主義によって人間が変わってしまい、自分だけが1人取り残されてしまうんじゃないかという恐怖が背景にあったのです。

でも、80年代は米ソ冷戦時代だったとはいえ、〈ストレンジャー・シングス〉で唐突にソ連軍が出てくるのはおかしすぎるでしょう。すべてのお金を軍事費に使っていたソ連でも、アメリカのショッピング・モールの地下に秘密研究所を作れるわけないですよね。このおバカな設定は、おバカ映画の傑作「コンビニ・ウォーズ バイトJK VS ミニナチ軍団」(2016年)をやりたかったんだと思います。コンビニの地下になぜか小さなソーセージのナチ軍団が眠っていたという映画です。

これはSFホラーからファンタジー・ホラーになったということなんでしょう。これからは科学(SF)に縛られず、もっと自由(ファンタジー)にやっていくんだと思います。

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出演者たちがしっかり成長していっているからおバカな設定があっても大丈夫と考えているのでしょう。たぶんこれからの〈ストレンジャー・シングス〉は、リチャード・リンクレイターの「6才のボクが、大人になるまで」(2014年)や〈ビフォア3部作〉のように映画の時間と役者の時間がリンクするリアルな虚構の世界をやろうとしている気がします。

アニメの「新世紀エヴァンゲリオン」を超えるにはこれしかないと思っているんでしょう。アニメの世界は時間を止めてられるから、ずっと止まってしまっていて、それが欠点になっている部分もありますよね。実写はそれが出来ないけど、リチャード・リンクレイターはその弱点である年を取っていく役者の欠点を使い見事に素晴らしい作品を作りあげました。今回新キャラとして、上記のリンクレイター作品に出演していたイーサン・ホークの娘、マヤ・ホークを器用したのは偶然なんですかね。意識しているとしか思えません。

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これからの「ストレンジャー・シングス 未知の世界」がどうなるか、先ほどのジム署長の続きの言葉が説明してくれてます。

「時計を戻して過去に戻りたかったのだろう。だがわかってる。人生はそう単純ではない。変化していく。いやが応でも変化する。ときどき苦痛に感じるし、ときどき悲しい。でもときどき驚くこともある。幸せも。いいか、成長し続けろ。俺に構うな。間違いを犯し学習しろ。心が痛むときも必ずあるが、痛みを忘れるな。痛むことはいいことだ」

これからの〈ストレンジャー・シングス〉の少年、少女たちがリアルにどう成長し物語を作っていくのか、楽しみで仕方がありません。

シーズン毎に楽しい同窓会気分を味わわせてくれるんでしょうね。この手法を取り入れていくであろう「ストレンジャー・シングス 未知の世界」は海外ドラマの王者の座をこれから10年くらいは居座り続けるでしょう。

 

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