シンセの揺らめきからベッカ・スティーヴンスらの荘厳なコーラス、荒ぶりながらも精確なマーク・ジュリアナのドラムス、そして高らかに鳴り響くアンブローズ・アキンムシーレのラッパ。ジュリアナとの久々の共演に胸が騒いでいたが、最早それどころではない。何故ならこれはメリアーナの単なる続きではないからだ。旧約聖書をテーマにした本作は、彼の類稀なるブルースフィーリング、リリシズム、そして先進性を総動員し書き上げられた一大叙事詩。ジュリアナのビートもその重要な要素として招かれたのだろう。そこには神話の世界とSF的未来、そして記憶と現実のアメリカが交差して渦を巻いている。