映像作家で映画監督である関根光才の初・長編劇場映画作品。同時期には長編ドキュメンタリー『太陽の塔』も公開されたが、こちらの映像も青(いスカート)や赤(いライト)を映し出す色彩の質感が印象的。趣里演じるの寧子の“普通”への憧れ、寧子にも彼氏の津奈木(菅田将暉)にも同じようにある、どうしようもない自分への嫌悪感と自己愛。趣里のすっとぼけた表情や菅田の目つきから見えるそれらに、身に覚えのあるわたしたちはヒリヒリする。誰にもわからない心の中の真っ暗を、印象的な青や赤が少しだけ照らす。色は、明るい。仲里依紗の憑依っぷりも見どころ。世武裕子《1/5000》によるエンディングまでお見逃しなく。