2019.08.22

CHAPTER RED
スムースな魅惑のヴォーカルで脚光を浴びたマレーシアの才能が待望のニュー・アルバムをリリース。名匠ロビン・ハンニバルの手腕も光る野心的な一枚に仕上がっている!

 2016年の『Chapters』がビルボードの〈10 Best R&B Albums〉に選ばれ、ハイファッション誌でも表紙を飾るなど注目を集めているマレーシア出身のユナ。それから3年ぶりに登場したニュー・アルバム『Rouge』は、制作に2年の月日を費やし、〈完全な大人の女性と実感するようになってからは最初のアルバム〉なのだそうだ。タイトル通りの真っ赤な衣装に身を包んだ姿も印象的だが、これについては本人の現在の気分を表現した色だという。いわく「私は結婚したばかりで、これまで自分がなりたいと思っていた女性にようやくなれた。私はいま恋愛関係にも自分のキャリアにも満足している。赤はいまの私のような女性を表現できる色だと思う」。

 そんなキャリアへの満足に直結した本作の充実ぶりは、バーニー・ケッセルのギターをサンプリングした“Castaway”でのたおやかな幕開けからも明らかだろう。同曲にフィーチャーされたのはタイラー・ザ・クリエイター。続いてのスムースなアップ“Blank Marquee”はトム・ブラウン“Brighter Tomorrow”を用いたアーバンな仕上がりで、こちらを軽やかなラップで援護するのはG・イージーだ。前作もジェネイ・アイコからアッシャー、DJプレミア、デヴィッド・フォスターまで多方面のアイコンを招いた力作だったが、今回はそれ以上に幅広いゲストが主役の赤に彩りを加えている。昨年の『SAMURAI SESSIONS vol.3 - Worlds Collide -』に参加したお返しに日本のMIYAVIがギターを弾いた“Teenage Heartbreak”、UKのリトル・シムズがファンキーなラップを挿入するハウシーな“Pink Youth”、ジェイ・パークがスマートに声を重ねたストレンジなアップ“Does She”、カイルを交えてのジャジーなネオ・ソウル“Likes”など、ゲストごとの個性も曲調の幅に結び付いたのかもしれない。

 一方でプロダクション面はほぼ全曲をロビン・ハンニバルが担当。前々作『Nocturnal』(2013年)の頃から楽曲単位で関わってきた彼は、ライ脱退後はナイアやキンブラ、DNCEのプロデュースなど活動の幅を広げているところで、エグゼクティヴ・プロデュースも務める今回は柔軟な手捌きでユナのスムースな個性を伸びやかに活かしている。もちろん、前作の立役者たるフィスティカフスが手掛けたマセーゴ客演の“Amy”も穏やかなメロウネスを湛えた佳曲だ。

 これまで以上に野心的かつポップな仕上がりは、〈全米で活躍するアジア人のR&Bシンガー〉という言い回しに伴う先入観を取り払うに十分なものだろう。9月には〈Local Green Festival〉出演のために初来日も決定しているそうで、日本でのさらなる人気拡大にも期待できそうだ。

40周年プレイリスト
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