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『Let Love』を楽しむためのサブテキスト的なあれこれ盤を紹介

COMMON Black America Again Artium/Def Jam(2016)

大統領選の直前に投下されたデフ・ジャム最終作。総監督を務めるノーIDの直接的な関与はなく、カリーム・リギンスとロバート・グラスパーが全編を制作。重たいラストの“Letter To The Free”は「13th」主題歌としてエミー賞に輝いた。

 

KARRIEM RIGGINS Headnod Suite Stones Throw/BBQ(2017)

『One Day It'll All Make Sense』(97年)以降、コモンのほぼ全作に関わってきた才人。このソロ作では、大西順子のトリオ作で組むロバート・ハーストやジェイムズ・ポイザーらも交え、デトロイト屈指のドラマーとしての顔も垣間見せる。

 

VARIOUS ARTISTS Nina Revisited... A Tribute To Nina Simone RCA(2015)

『Let Love』のほぼ全曲で共同プロデュースを務めたのは、グラスパー周辺で名を馳せてきたベーシストのバーニス・トラヴィス。グラスパー総指揮による本トリビュート盤では“We Are Young Gifted & Black”にてコモンとも初共演していた。

 

AUGUST GREENE August Greene August Greene(2019)

カリーム・リギンス、ロバート・グラスパーとの新トリオでの作品。バーニス・トラヴィスやサモラ・ピンダーヒューズを従えたマッシヴな作りは『Let Love』の前段階となるもので、この年に亡くなるロイ・ハーグローヴも参加。世相に立ち向かうようなサウンズ・オブ・ブラックネスのカヴァー“Optimistic”がいい。

 

COMMON Resurrection Relativity(1994)

変わりゆくヒップホップを女性に例え、最近もCreepy Nutsが借景したクラシック“I Used To Love H.E.R.”はここに収録。当時これに反応したアイス・キューブとはディス曲を応酬する不穏な事態になるも……2016年にはキューブ製作/主演映画「バーバーショップ3」にコモンが出演、サントラで初共演した。

 

BJ THE CHICAGO KID 1123 Motown(2019)

『Black America Again』収録の“The Day Women Took Over”やその後の“Forever Black America Again”に続き、このシカゴの後輩は『Let Love』でも“Forever Your Love”に客演。マーヴィン感の薫る歌唱は本人の新作でも堪能すべし。

 

J DILLA Dillatronic Vintage Vibez(2015)

今回の先行カット“HER Love”のトラックは、コモンとカリーム双方にとっての盟友ディラの仕事。元はこのビート集で“Dillatronic 41”として世に出ていたもので、ビリー・プレストン&シリータ“One More Try”をメロウにループしている。

 

DWELE Greater Than One RTMG/eOne(2012)

コモン作品ではかつて“The People”に客演したこともあるデトロイトの才人。今回の『Let Love』では“HER Love”で(たぶん)ダニエル・シーザーのパートを書き、“Dwele's Interlude”を与えられている。本人の新作にもそろそろ期待。